第二十三話 入学テストその七
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「そういうのじゃなくてね」
「じゃあ何なの?」
「あれよ。うち兎飼ってるのよ」
「ああ、あんたの家兎飼ってるの」
「だからね。食べるのはね」
苦笑いになります。けれどこれはよくわかります。私だって家で飼っている犬を食べるなんてとても考えられません。韓国の人が犬を食べたりするっていうのは聞いていますけれどこれも豚肉や牛肉があればそちらの方が好きだって聞いています。やっぱり豚肉だと。
「抵抗あるわよね、正直」
「それはわかるわ」
「私も」
皆このことには頷くことができました。皆それぞれ実家にペットがいますから。
「犬食べるのはね。私は」
「私の家は猫だけれど」
猫を食べることもできるとは聞いています。けれど美味しいんでしょうか。これもある人に聞いたことですけれど凄く泡が出ておまけにあまり美味しくないと聞いています。
「食べろって言われたら」
「豚肉とかあったら絶対そっち食べるわよね」
「誰だってそうじゃないの?」
私もそう思います。
「だって豚肉が美味しいのはわかっているしね」
「そうそう」
「牛肉にしろだけれど」
「絶対にそっちよね」
「だから兎はね。ちょっとどころか」
これが彼女の結論でした。やっぱりよくわかりました。
「羊なら食べられるけれど」
「私あれはちょっと」
「私も」
羊と聞いて引く娘が結構いました。
「匂いきついから」
「あまり好きじゃないわ」
「そうなの?美味しいじゃない」
私はその娘達の話を聞いて少しきょとんとした顔になって言いました。
「カロリーも少ないし安いし。羊もいいものよ」
「そうなの?」
「うちじゃ結構食べるわよ」
特にジンギスカンとかを。
「美味しいのは本当よ」
「そうなの」
「けれどねえ。匂いが」
それでも皆はあまり信じてくれない様子です。
「やっぱりお肉はね」
「牛か豚よね」
「そうそう」
「羊だっていいのに」
私も少し意地になっていたかも知れません。羊好きですし。
「一度騙されたと思ってね」
「ううん、機会があればね」
「またね」
こんな返事でした。やっぱりどうにもこうにも晴れない感じです。私はそれを聞いてあまりいい気分はしないのでした。何か自分を否定されたみたいで。
「豚とかはねえ。わかるんだけれどね」
「豚はね」
「そうそう」
皆で言い合います。豚についてはやっぱり皆知っています。
「焼いてもいいし煮てもね」
「角煮なんて最高じゃないの?」
一人が楽しそうに言いました。
「あれなんてさ。中華料理はやっぱり豚だし」
「あっ、中華っていえば」
一人が私を見ると皆がそれに続いて見ました。
「ちっちだってそうだったわよね」
「神戸よね」
「ええ」
皆の言葉に頷きます。
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