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戦国異伝
第二百四十六話 妖術破りその一

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                 第二百四十六話  妖術破り
 夜明け前にだ、もう双方動いていた。どちらも飯を食っていた。
 慶次は白米を大きな丼で食いながらだ、足軽達に言っていた。
「よいか、たんと食うのじゃ」
「腹一杯食ってですな」
「力をつけて」
「そしてそのうえで」
「敵を攻めまするか」
「そうせよ、まずは食ってじゃ」
 そうしてからというのだ。
「戦が出来るからな」
「それはその通りじゃが」
 その慶次にだ、前田が眉を顰めさせて言った。
「御主は食い過ぎじゃぞ」
「おお、叔父上おはようございます」
「おはようと言っておく、しかしな」
「飯をですか」
「あまり食うのもよくないぞ」 
 こう言って己とあまり歳の変わらない甥を窘めるのだった。
「かえって動けぬ」
「ですからあくまで、です」
「八分というのか」
「それで止めます」
「その丼に盛ってか」
「これで、です」
 その山盛りの飯でもというのだ。
「八分であります、それがしは」
「相変わらずよく食う奴じゃ」
「それがしこの図体ですので」
「だからか」
「はい、食ってこそです」
 その山の様な丼に盛った飯をというのだ。
「八分です」
「まあそこはそれぞれか」
「そして八分だけ食ってです」
 そしてというのだ。
「思う存分戦ってきます」
「一番槍を目指すか」
「はい」
 確かな声でだ、慶次は答えた。
「この度も」
「待て待て、一番槍はわしじゃぞ」
 ここでだ、慶次と共に飯を食っていた可児が言って来た。見れば可児にしても相当な量の飯を盛っている。
「今度はわしがじゃ」
「むっ、一番槍というか」
「そうじゃ、そうして敵を薙ぎ倒してやるわ」
「ははは、そう上手くいくか」
「いくわ、わしを馬鹿にするでない」
「しかし最近御主はwしに遅れを取っておるではないか」
「今度は違うぞ」
 笑って返す慶次に強く言うのだった。
「御主のその笑い悔し泣きに変えてやるわ」
「わしが泣くとか」
「泣かせてやるわ」
「全く、戦になるといつもこうじゃ」
 前田は言い合う二人を見て口をへの字にさせて述べた。
「一番槍を争ってな」
「それが武士の誉なので」
「目指します」
 二人はそれぞれ前田に答えた。
「今度も一番槍を」
「そうしますぞ」
「では目指せ、そしてじゃな」
「はい、あの者達を倒し」
「天下も泰平にしましょうぞ」
「それは是非な。では飯を食ってな」
 そしてとだ、前田はあらためて言った。
「攻めるぞ」
「そうしましょうぞ」
「是非共」
「そして勝ちましょう」
「何があろうとも」
「敵は使ってくるがな」
 妖術をとだ、前田もこのことは頭に入れている。
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