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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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、提督さんの肩車がうれしいのだろう。

「なッ?! は、ハル……私だって一人前のレディーよ?!」
「お前は俺に何をさせるつもりだビス子ッ!」
「わ、私だって肩車を……」
「まさかおれに肩車させるつもりじゃないだろうなッ?!」
「は、ハルがどうしてもしたいというのなら……させてあげてもいいわよ?」

 いやビス子さん、あなたスカートですやん……それに、もし仮におれが肩車したいと思ってもできませんぜ……なんせ……

「そんなに肩車したかったら球磨を肩車すればいいクマッ!!」

 妖怪おぶさり女が俺ににらみを効かせてますから……つーかお前、おんぶだけでは飽きたらず、俺に肩車までさせようってのか?!

「肝試しの時は球磨は索敵で忙しかったんだクマ!!」
「お前俺の背中で『楽ちんだクマー』て言ってたよな確か!!」
「知らないクマ〜」
「おーおー。もう夫婦ゲンカかー?」
「提督さん、冗談は隼鷹の裂きイカだけにしてくださいよ」
「暁っ! このご夫婦を雷のうちわで仰いで差し上げろッ!」
「了解! 一人前のれでぃーにまかせて!!」

 唐突に、提督さんの方に担がれている暁ちゃんがその巨大うちわで俺と球磨のことを仰ぎだした。巨大なうちわで生み出される風は意外に強く、気を抜くと吹き飛ばされそうだ。

「球磨ッ! 助けろッ!! 俺の盾になれッ!!」

 こんな時こそ俺を助けなくてどうするんだッ!! この前見せた頼もしさを今、もう一度見せてくれッ!!

「くまぁ……夫婦だなんて球磨にはまだ……」

 なに顔真っ赤にしてぐにんぐにんしてるんだよ……なんだかこっちまで無駄に恥ずかしくなってくるだろうが……。

 そうだ。お嬢様にして提督さんの嫁である隼鷹なら、こいつらの暴走を止めてくれるかもしれん……!!

「隼鷹! 提督さんとこいつらを止めてくれッ!!」
「ぇえ〜いいじゃん別に〜。そろそろあたしたち以外にからかわれてくれるヤツがいてもいいと思うんだよね〜ニヤニヤ」
「隼鷹なら止めてくれると思ったのにッ?!」

 やぐらの上では北上がニヤニヤとほくそ笑みながら俺と球磨を見下ろし、加古が鼻提灯を膨らましながら熟睡している。そのいやらしい顔でこっちを見るのを止めろ北上ッ!

「ぇえ〜もういい加減観念して素直になりなよハル兄さん」
「俺を兄さんと呼ぶなッ!」
「だってさハル、気付いてる?」
「何がだッ?!」
「確かにハル、さっきからみんなにからかわれて怒ってるけどさ。球磨姉とのことは全然嫌がってないよね? ニヤニヤ」

 あ……確かに……。

「く……くまっ……」

 おい。そこで顔真っ赤にするなよ妖怪アホ毛女。

「い、いや……だってハル……」
「い、いつもみたいに『張り倒してやるクマ!
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