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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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「あれ? 言ったらダメだったの……?」

 周知の事実だとでも思っていたのだろうか……皆の反応を見て提督さんは困惑していたが、それでもやきそばをひっくり返す手を休めないのはさすがだ。

「提督さん」
「お、おう……どうしたハル……」
「あとで話があります。工廠裏行きましょっか」
「球磨も話があるから一緒に工廠裏に行くクマ」

 提督さん……久しぶりに切れちまいましたよ。

「球磨も……久しぶりにキレたクマ」

 気が合うな妖怪アホ毛女。よし。一緒に提督さんをかわいがってやろうじゃないか。

「そうクマね。とりあえず張り倒すクマ」
「いやいや! この時点ですでに息ぴったりで仲いいじゃないかッ!!」

 う……ひ、否定できん……いや仲がいいというのは論外だが、息ぴったりってのは……

「た、確かにそうクマ……」

 お前も急に顔を真っ赤にしてうつむくんじゃないっ!!

「それはそれとして、球磨ばっかり膝枕して、私たちを膝枕しないのはどういう了見なの? ぜひじっくり話を聞きたいわねハル……?」
「そうよ! 私たちは一人前のれでぃーなのよ? ぷんすか!!」
「い、いやそれは……球磨は一度言い出したら聞かないというか……」
「んふ……にへらァ〜……」
「お前もキモいニヤニヤを浮かべてるだけじゃなくて何か言い返せよ妖怪にやけ女!」

 ヤバい……暁ちゃんが頭の上に青筋を立てながら迫ってきている……ビス子はビス子で暁ちゃんの背後で怒り狂いながら『吹き飛ばされるがいいわ!!』と言わんばかりに、暁ちゃんの背後で『祭』と大きく描かれた巨大うちわでこっちをあおいでいる……これは絶体絶命だ……まさかここに来て日頃膝枕を断り続けた報いが来ようとは…?!

 唐突に、『ジュゥゥウウウウウ』という大きな音が鳴り、周囲にソースの焦げたいい匂いが立ち込めた。そのソースの匂いに反応し、俺と球磨、ビス子と暁……俺達全員の腹の音も盛大に鳴った。

「やきそばッ?!」
「待ちかねたわッ!!」
「あ、青のりはたくさんかけるクマッ!!」
「お、俺も! 青のりを! もっと青のりを!!」

 提督さんの方を見ると、提督さんの隣で隼鷹がソースを焼きそばにかけていた。うーん……さすが提督さんのスイートハニー隼鷹。ナチュラルに提督さんを手伝うその様子が様になっている……

「だろ? これがマイスイートハニー隼鷹だッ!!」
「ほら提督! ボサッとしてるとやきそばコゲるよ!!」

 なんかもうさ、長年連れ添った熟年夫婦みたいな安定感があるね。この二人。

「そうクマね……なんかもうナチュラルだクマ」
「お前もそう思うか」
「思うクマ」
「ハーッハッハッハッ!!!」

 唐突に悪の総大将のような高笑いが聞こえた。この
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