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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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に仲良くなってくれて。昨日の夜、提督喜んでたよー」
「昨日って……ぁあ、珍しく提督さんが『マイスイートハニー隼鷹』て暴走してたときか」
「そそ。球磨の爆弾発言聞けて、『そんなに仲良くなってくれたのか!!』てすごくうれしくて調子に乗っちゃったみたい。ガッツリ締めといたけどね! ヒャッヒャッヒャッ!!」

 そっかー……あの妖怪アホ毛女の爆弾発言は置いておいて……そう思われてるのはうれしいね。

「まぁーこれからもひとつ、この鎮守府のみんなをよろしくね!! あたしゃ金魚すくいしてるビス子にちょっかい出してくるよ!!」
「あ、待て。俺も夜店に行く」
「んじゃハルも一緒に行こっか!! いくぞものども〜!!」

 隼鷹の、提督を想う意外な一面……つーか付き合ってるんだから当たり前か……が見れてなんだか新鮮な気分だ。今俺の横でビールを飲みながら上機嫌でケラケラ笑うこの隼鷹、お嬢様って話もびっくりだし……色々な横顔を持ってるんだね。

「ハル! わたあめだクマ!!」

 夜店に到着すると、球磨がドデカいわたあめを持って100万ドルの笑顔で待ち構えていた。球磨のためのわたあめのようで、なんとなく熊の顔っぽいつくりのわたあめだった。提督さん器用だなぁ。

「でもこの、頭から上に伸びてるツノみたいなのはなんだ?」
「アホ毛! 球磨のわたあめだから特別につけてもらったクマ!」

 心底楽しそうにそう答える球磨を見て、俺も自然と顔がほころんでくる。……にやけてるんじゃないからな。

「お! ハル!! 来てくれたか!!」

 夜店の方から、提督さんの威勢のいい声が聞こえた。見ると提督さんは、今まさにやきそばを作っている最中で、大量のそばと具をフライ返しでひっくり返しまくっていた。ねじり鉢巻に祭のハッピという祭り装備完璧な提督さんが、笑顔で焼きそばをひっくり返すその光景は、見ていてかなりの迫力がある。

「来ましたよ。妖怪アホ毛女のわがままなんか聞かなくてもいいのに」
「誰が妖怪だクマッ!!」
「いや、これぐらいしなきゃな! 球磨のわたあめにアホ毛をつけるぐらいわけないよ!」
「提督は男前だクマ〜……」
「特別扱いなぞ球磨にはもったいない。その分のリソースは隼鷹に割いてあげてくださいよ」
「もちろん、隼鷹には別に色々と……でもハルもあれだろ? 北上から聞いたぞ?」

 お? 北上から一体何を聞いたというのか?

「球磨にだけは耳掃除の時に膝枕してるんだってな!」
「?!」
「え?!」
「クマ?!」
「ちょっ!? この一人前のれでぃーを差し置いて……?!」

 提督さんの突然の暴露を受け、その場でいちごあめを食べていた暁ちゃんと金魚すくいに勤しむビス子が驚愕の表情を浮かべ、隼鷹は飲んでるビールを吹いた。


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