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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 3
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平線を望む広大な海だ。

 自分が住んでいる村で泥棒なんて汚い真似はしたくはないが。
 こんなに好条件が揃っていては、膨らむ期待は止められない。
 押し返す風と、整列する木々の間を全力で駆け抜け、教会をぐるりと囲う白い石の土台に突き立てられた鉄柵を掴む。

 棒の一本一本はそれほど太くないが、間隔は片腕を通すのがやっと。
 高さは教会の半分くらいか。
 これなら、近くの木によじ登れば楽に飛び越えられる。
 崖先はどうかと、柵の向こうを覗けば。
 人間一人を支えるには十分な足場があった。

「素敵! あそこから覗いてみたいなあ、崖下」

 ちょっとだけなら……
 いや。やっぱり、夕方以降じゃないとダメだ。
 昼間の海岸には、何気に人出が多い。
 万が一見つかってしまったら大騒ぎになる。

「むぅー。空が明るいうちは、見上げるに留めるしかないか」

 名残惜しいが、握り締めていた鉄柵を離し。
 細長く切り取られた空と海の輝きを目に焼き付け。
 敷地内をじっくりと観察してから、素早く立ち去る。


 次に目指すは、この崖の下。
 白い砂で眩しい陽光と熱を弾いている、砂浜だ。



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