第10章 エル・ファシル掃討作戦 前編
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ル・レイ曹長だ。
彼は元々連隊本部の斥候狙撃手で弱冠22歳にして公式射殺件数311件という驚異的な数を持つエース・スナイパーだった。今回は偵察任務であるので愛用の狙撃ライフルは持っていなかったが彼なら静止標的だあれば3q先の標的には百発百中で当たるそうだ。
偵察任務には狙撃手としての慎重さが必要らしく、彼は狙撃以外にも適任であった。
今回の偵察任務達成目標はこの地区にある敵の迫撃砲陣地とあわよくば狙撃陣地の発見である。
演習開始1日目にして輸送車両がこの方角からの対戦車ミサイル(模擬弾)と迫撃砲による攻撃を受けローゼンリッター連隊で護送任務に就いていた2名がドロップアウト判定をくらって、輸送車両も5両中2両が撃破された。
しかし、その2名のドロップアウトは爆発によるものではなく狙撃によるものであった。
これに危機感を覚えたヴァーンシャッフェ大佐はこの地区を我々第3中隊管轄にし、掃討作戦を命じた。
こうして、演習開始2日目には3つの迫撃砲陣地と6つの対戦車ミサイル陣地をレイ曹長の偵察報告に基づき撃破したものの狙撃陣地は見つからないばかりか我々と共同でこの地区の掃討作戦を担当していた第101山岳師団第145山岳歩兵連隊から派遣されてきたマコ・ラッシュ中尉指揮下の中隊員が3名狙撃されてドロップアウトした。
マコ中尉は私と士官学校同期で同じ陸戦士官として協力し合ってた。
中尉はそれを見て
「ホークアイ(鷹の目)だわ。」
と一言つぶやいた。
私はわからなかったので聞いてみると
「グリーン・デビルス(第1山岳師団)のエース・スナイパー。
本名は知らない。っていうかあの師団直属の狙撃手の中でだれがやつなのかは奴らの中でも知らないらしいのよ。
でも、ひとつだけわかってるのは奴は「目」にこだわるのよ。
必ず、敵の「目」を狙ってくる。
確実に延髄を打ち抜けるのもあるけどなぜかそこばかりを狙ってくる。
おたくのデアデッケン大尉がよくご存じのはずよ。」
ということで大尉に聞いてみると
「俺も奴のことは詳しく知らんが、奴の射殺体は何体も見た。
エル・ファシルでな。
当時俺は准尉になりたてでな、ローゼンリッターではなく第10山岳師団にいたときだ。
市街地戦闘の時に師団直属の狙撃手が俺たちの小隊の援護についてきたんだ。
市街地戦闘はどこから敵が来るかわからん。
それで彼がついてきたわけだが、正直な話をすると俺たち小隊は敵をいぶりだしただけで誰一人としてトマホークをふるったり、ライフルを打たなかった。
なのに、左目から血を流して頭から出血して死んでいる帝国軍兵士が転がっているんだ。
つまり、その師団直属の狙撃手がやったってことは一目瞭然だったんだ。」
そういう、デアデッケン大尉も特級射手の一人としてかなり名をはせていたらしいが、ローゼ
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