機動戦艦ナデシコ
1263話
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! 俺はガイ! ダイゴウジ・ガイだ!」
ウリバタケの言葉へ割り込むように、周囲へ叫び声が響き渡る。
「ちょっ、何!?」
エリナが慌てて周囲を見回し、俺も周囲を見回す。
その声の主と思われる人物は、格納庫の入り口の近くに立っていた。
何と言うか、暑苦しそうな顔をした男だ。
……うん? どこかで見た覚えがあるような、ないような……
数秒悩むが、すぐに思い出した。そうそう、確かナデシコとの通信でテンカワと話していた時にいたような気がする。
まぁ、ともあれ……
「ヤマダとダイゴウジ、どっちが本当の名前なんだ?」
疑問に思い、そう尋ねる。
「だからヤマダだよ、ヤマダ」
「違う! ダイゴウジ・ガイだ!」
「……きちんとヤマダ・ジロウって登録されてるって前にも言っただろ?」
「だーかーらーっ! そのヤマダ・ジロウってのは偽りの名前!」
そう言った瞬間、今まで話に付いていけず……いや、付いていく気もせずにいたエリナの目が鋭くなったのを見た。
「ちょっといいかしら? 貴方、今面白いことを言ったわね? ヤマダ・ジロウが偽りの名前? つまり、貴方は偽名を使ってナデシコに乗り込んだのかしら?」
「あん? 誰だよあんた?」
エリナとの面識はなかったのか、ヤマダだかダイゴウジだが分からないが、訝しげに尋ねる。
まぁ、エリナはナデシコに来てからも色々と忙しく動いていたし、昨日は昨日で俺との話の最中にブラックホールエンジンの事を聞いて速攻でネルガル本社に連絡を取っていた筈だから、面識がないのはしょうがないんだろう。
「ナデシコの副操舵士のエリナ・キンジョウ・ウォンよ」
「副操舵士が何だって格納庫にいるんだよ? 今は戦闘配備中だろ? なら……」
「同時に、ネルガル会長秘書も務めてるわ」
ピキリ、と。
エリナの言葉を聞いた瞬間、ヤマダだかダイゴウジだか――もう面倒なのでヤマダでいいだろう――が息を呑む。
まぁ、ネルガルってのはこのナデシコ世界でもトップクラスの大企業だ。その会長秘書ともなれば、それは当然かなりの権力を持っている事を意味していた。
……そういう意味だと、エリナの前で偽りの名前とか言ったのは致命的なまでにタイミングが悪かったな。
「どうしたんだ?」
ヤマダから遅れてやって来たテンカワが、不思議そうに尋ねてくる。
「いや、ヤマダが偽名を使ってナデシコに乗ったって話になってな。エリナがそれに切れてる訳だ」
「あの人は?」
「ああ、テンカワも知らなかったのか。エリナ・キンジョウ・ウォン。ナデシコの副操舵士にして、ネルガルの会長秘書らしいぞ」
「……なんだってそんなお偉いさんがナデシコに乗ってるんだよ?」
「さて、なんでだろうな」
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