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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第22話 「従妹は思春期」
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あ俺とお前じゃ俺のほうが落ち着いてるとは言われるだろうけど」

 言い終わってから視線を向けてみると、ユウキの顔がやや不機嫌そうな目でこちらを睨んでいた。遠回しに彼女の方が子供だと言ったようなものなので無理もない。
 やってしまった……後半は言わなければよかった。
 そのように後悔が芽生えもしたが、今更取り消すこともできない。変に誤魔化そうとすればさらにユウキの機嫌を損ねる可能性もある。ここは彼女の反応を見てどうにか対応するしかないだろう。

「……確かにショウの方が落ち着いてるけどさ、僕だって落ち着いてきてるし。というか、大体ショウが口数が少なくて会話が続かないから僕がその分話すようになったんじゃん」
「あんまり拗ねるなよ。てか、そっちだって人の過去をどうこう言ってるじゃないか。言っとくけど、前は目的も理由もないのに会話する必要性をあまり感じてなかっただけだ」
「うわぁ……子供らしくない。まあ確かに小さい頃のショウはそんな感じだったけど……正直近づきにくいというか、一緒に居ると緊張したし」

 ユウキがそのように言うのも仕方がないだろう。俺の父さんや叔母は一般人からすればかなり優れた頭脳の持ち主である。つまり俺にも具体的な割合は分からないがその遺伝子があるわけで、物心つくのも早ければ同年代よりも勉強というか物覚えも良かった。
 それだけに同年代と遊ぶよりも大人から知識を教えてもらう方が楽しいと思っていた時期がある。いや、もっと簡潔にあの頃の自分を表現するならば冷めてしまったというか、心が錆び付いていたというべきかもしれない。
 けれどシュテルやレヴィ、ディアーチェ達に出会うことで変わることが出来た。彼女達は俺よりも優れた頭脳も持っているが、とても輝いた目をしていたのだ。それが俺には眩しく見えた。それだけに……近づきたい気持ちと近づきたくない気持ちを抱いたものだ。
 ――まあディアーチェに貴様も我らと共に遊ぶがいいみたいに言われ、レヴィに抱きつかれながら遊ぼうとせがまれ、シュテルから静かに諦めて遊ぶべきだと諭され選択肢はひとつしかなかったんだけど。

「けど……シュテル達と会った頃からかな。少しずつだけどショウは変わって行ったよね。優しくなったというか……いや優しいところはあったけど、分かりにくかったのか。感情があまりにも表に出てなかったし」
「……何か話がずれてないか?」
「おっと……。うーん、そうだなぁ……じゃあ、子供らしくなったってことで」
「それはさっきの仕返しか?」
「さあ、それはどうだろうね」

 ユウキは笑顔を浮かべてくるりと回ると、少し先を歩き始める。
 そのような逃げ方をするようになったあたり、ユウキも確実に年齢を重ねているということか。シュテル達があまり使わない
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