昔妄想したものの書けず仕舞いに終わった幻のIS小説のプロット。
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るだろうよ」。そんな勝手な予想を根拠に、自分の妹の存在堂々と拒否する――それは弟を第一に考えて生きてきた千冬からは到底受け入れがたい価値観だった。
だが、ラウラの時に風原はこうも言っていた。『あんた、ラウラを助けるのが面倒になったんじゃあないのか?』。風原の発した言葉が千冬の頭から離れない。あいつと自分が同じである筈がない。なのに――生徒として特別扱いはしないと決めているにも拘らず、千冬はどうしようもなく真人のことが「嫌い」になっていた。
第五章
シャルロットは父親が嫌いだった。一流の人間の一流の考え方。実に無駄のない合理的な思考。そして、「シャルにはそう接した方が利益がある」という思考の元の発言。その何もかもがシャルにとっては気に入らないのに、シャルが父に逆らえない立場にある事を父はよく理解している。シャルが反撥心を持っている事も、内心で悪態をついていることも、すべて知っている。だから、彼はシャルを道具として最大限生かせるように「大切にする」。
男のふりをして学園に入学した時にシャルが感じたのは、全てが薄っぺらい世界。薄っぺらい嘘と、それを見抜こうともしない薄っぺらい人々。シャルルとしてクラスに歓迎されたときにシャルが真っ先に感じたのは、一方的な好意に対する嫌悪だった。自分は女なのだ。なのに、誰も気付かない。誰もが「男の生徒で転校生」であることが大事なのであって、シャルロット・デュノアのことなどどうでもいいと考えている。シャルはクラスという単位を「衆愚の塊」だと思った。
同時にシャルは思う。こうして他人を下卑している癖に、自分は唯の社長の駒でしかない。騙している妾の子の分際で、周囲を見下す事しか出来ない非力な存在。そして何より、本心を一言も漏らさずに全部自分の中に仕舞い込んでいる嘘つきな自分。シャルはそんな自分が一番嫌いで醜いと思っていた。
そんな中、シャルは一人の男に目を引かれた。不快に感じたことを不快だと言い放ち、周囲に何一つ遠慮せずに空気を乱し、他の誰よりも『自分らしい』ということを貫く。周囲がへらへらとシャルを迎合する中で、シャルにひとかけらも心を許す気がないその男の名は真人。
彼と同室になった(のほほんはほぼ通い妻状態なので実質3人?)シャルはどうにかこびへつらって彼と仲良くなろうとするが、彼はどこまでもシャルを突き離す。そのうちに本心を隠すのが馬鹿らしくなってきたシャルは、真人の前で少しずつ自分のお利口でない部分を吐露するようになる。
父親に押し付けられた地位に甘んじているシャルの不満や本音。それは日本政府の監視下に置かれているも同然の真人の考えと符合する点が多く、真人は次第にシャルを「仲間」として認めていく。シャルもま真人と喋っている間は押し付けられた任務の事を忘れられる。
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