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昔妄想したものの書けず仕舞いに終わった幻のIS小説のプロット。
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端に不器用で、行動の多くが空回ってしまう。余りにも飛び抜けた世間知らずっぷりを不審に思った真人は本人にその事を詰問し、そこで初めてラウラが幼いころから兵士として育てられていた事を知る。
 幼いころから世間を知らずに半ば強制的に兵士としての性能を求められながら生きてきたラウラは外の事を何も知らない。ただ、兵士として落ちこぼれていた頃に千冬に教官として助けられ、深い恩があるとラウラは説明したが、この時真人は千冬に激しい怒りを覚えた。

 真人は、子供の環境は親によってすべてが決まると強く信じている。だからラウラのようにどうしようもない場所に残された子供がそこから肉体的、精神的に脱出するには、大人が助けるしかない。なのに、千冬はそれをやっていない。やろうと思えば出来ただろうにやらなかった千冬。その癖過去の恩を利用してラウラをこちらに嗾ける千冬。それは真人が最も嫌う「汚い大人」に限りなく近い印象を与えた。

 真人は千冬にそのことを詰問するが、それに対して千冬は冷ややかだった。千冬は物事がそう簡単ではないことを知っているし、ドイツ軍に干渉することが孕む問題も極めて冷静に見極めている。それに――千冬はラウラ達くらいの年頃の時、一夏を護りながら運命を自力で切り開いてきた。「子供だからと言って自力で出来ないことなどない」。これが真人と千冬の価値観を真っ二つに分けた。『現実を知らない甘えた子供』と『人の心が分からない薄情な大人』は喧嘩別れした。

 以降、真人は千冬に対するあてつけのようにラウラに一般常識を教え込んでいく。時にはセシリアやのほほんの力も借りて、ラウラを千冬無しでも生きていける存在にしようと意固地になっていた。それは結果的に普段感情を表に出さない真人の本来の姿を出す事になり、気付かないうちに真人とクラスメートの心の距離は縮まっていった。ラウラも真人を護衛対象という目線から「第二の教官」として感じ始め、真人の独特の常識教育によってきちんとしたコミュニケーションが取れるようになっていく。

 だが、そんな中で担任の千冬は苦悩していた。真人の考えていることが分からない。生徒ほど距離が近いわけではない千冬は真人の考えが理解できず、どう対応すればいいのかが分からずにいた。前に喧嘩した時には微かに彼の本音を感じたが、当の本音が千冬と相容れなかった。「だったらどうしろというんだ、お前は……!」。生徒を特別扱いしないことを心がける千冬だが、言葉に出来ないもどかしさが苛立ちを覚えさせていく。
 更に、千冬にはもう一つ真人と相容れない部分があった。異母兄妹の「九宮梓沙(このみやあずさ)」が近々入学することについて、真人に伝えた時の事だ。彼女の面倒を見てやるように伝えた千冬に対して、真人は拒否した。「向こうはそんなことは望んでいない。むしろ殴りたいくらいに思って
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