大舞踊演舞
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えない。声も聞こえない。つまり、俺たちは何もないところを見て驚いている不思議な人たちということである。
「私も食べたいですぅ」
「我慢してください。幽霊なんですから」
「ていうか、食べられませんよね?」
「「「ん??」」」
物欲しそうな目でゼリーを一心に見つめている初代。見た目の年頃は俺やウェンディと一緒ぐらいだし、こういうものを食べたいのはわかるけど、幽霊だからすり抜けちゃうよね?絶対食べられないよね。
「ところで初代」
「一つ聞いてもいいですか?」
「はい。何でしょう」
彼女を見て、今日ずっと気になっていたことを質問してみることにした。その時、俺たちがまたしても見えない何かと会話しだしたと感じたシェリアとレオンは、近くのテーブルへと一度距離を置いていた。それに加えて、ラウルはハッピーたちを見つけたらしく、そちらに猫の姿に戻りながら飛んでいく。
「ナツさん見ませんでした?」
「ずっと見ていないんですけど」
俺たちがずっと感じていた違和感。それはうちのお騒がせ1のナツさんがいまだに姿を現していないこと。こういう席なら、彼はすぐにでも騒ぎを起こすはずなのに、その様子が全くない。それどころか、姿すら見せていない。
妖精の尻尾のメンバーの状況を多く把握している初代なら、もしかしたら知ってるかもと思い、聞いてみたのだ。
「さぁ?」
だが、返ってきたのはたったのそれだけだった。初代はゼリーに目が奪われていて、俺たちの話なんかあんまり興味ないみたい。
「おかしいなぁ。こういうとこだといつも一番目立ってるのに」
「ものの一つは壊してるくらいだよねぇ」
腕を組んでどこにいるのか考えてみるウェンディと俺。だけど、いくら考えても思い当たるフシが見当たらない。
「ウェンディ!!レオン!!シリル!!近くに何かいるよ!!助けて!!」
頭を悩ませているその後ろから、シェリアが何かを感じ取ったらしく青ざめた顔をしている。彼女のすぐそばには・・・正確には彼女が持っているゼリーのすぐ目の前に、羨ましそうに見ている初代がいる。
「何言ってんだよシェリア。何もいな・・・」
そこまで言いかけて、レオンは初代がいる位置をじっと見つめている。
「いや・・・なんかいるな」
「でしょ!?」
初代が見えないはずのシェリアとレオン。だが、やはりあれほどまでに近くにいると、霊感がなくても感じてしまうのだろうか?二人は初代がいるところを見つめて首を傾げている。
「き・・・気のせいじゃないかな?」
「そ・・・そうだよ。何もいないよ、そんなとこに」
無理矢理な感じもするが、俺たちにはそういうことしかできない。言っても信じてもらえなさそうだし、言っていいのかもよくわから
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