前編
10.祭だ祭だっ!!(前)
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あの、小学生のようにフリーダムな球磨たちとの戦慄の肝試しから数日後、猫の親子はそれぞれ『ミア(親)』『リリー(子)』と名付けられ、市街地で里親を探し、無事猫好きなご夫婦、井上さんに引き取られていった。あの日林で親子を見つけた俺と球磨、そして実際に病院まで子猫たちを運んだ川内の三人で、猫の親子を井上さんご夫婦の家まで送り届けてあげた。
「ありがとうございます。ミアとリリー、幸せにしてあげてください」
「こちらこそ。こんなかわいい親子を譲っていただき、感謝します。また会いに来てやって下さい」
「「にゃー」」
「もー……そんなにくっつかれたら私も離れられなくなっちゃうよー……」
ミアとリリーにとっても、自分たちを助けてくれた川内との別れは名残惜しかったようで、二匹は最後まで川内の足元や頭から、中々離れようとはしなかった。実際にこの親子を助け俺達にピンチを知らせたのは今は亡き神通と那珂だけど、その二人の姉である川内には、この子たちも素直に心を開いたのだろう。
「球磨たちに感謝しつつ、残りの人生を生きるクマ。キリッ」
「ふしゃー!!!」
必要以上に恩義を強調してくる妖怪アホ毛女に対し、ミアとリリーが最後まで懐くことはなかった。球磨は近づいて手を差し伸べる度に、ミアにねこぱんちを食らっていた。
「ハル〜……球磨も猫達と戯れたかったクマ……」
「お前はまず接し方から勉強しろ……」
そんなわけで里親さんたちの家を後にし、俺達は自分たちの鎮守府へと戻った。
それから数日は、何もない日々が続く。バーバーちょもらんまには毎日のように艦娘たちが訪れ、『足の裏がかゆい』と暴言を吐き、夕方には球磨と北上が晩御飯に誘いに来る。風呂に入って一日の疲れを癒やした後は、球磨たちが俺の居住スペースに訪れて酒盛り。時にはその面子に提督さんも加わるようになり、バーバーちょもらんまの酒盛りは毎日の終わりの恒例になりつつあった。
そして、秋祭を明日に控えた日の晩。この日もいつものように、艦娘のみんなが俺の居住スペースにやってきて、みんなで酒やジュースを飲みながら楽しくおしゃべりをしていた。この日は提督さんもめずらしくいい感じに酔っ払っていて顔もほんのり赤い。
球磨は相変わらずで、おちょこ一杯の日本酒でいい感じに酔っ払っていた。午前中の出撃で敵と戦闘になり、轟沈寸前まで追い込まれたというのに、風呂に入れば元気いっぱいってどういうことだ?
「くぅ〜……まぁ〜……」
「?! 誰だ球磨に酒を飲ませたのはッ?!」
「くまぁ♪」
「ごぶぉッ?!」
「あらら〜……今日も腹パンされるなんて、ついてなかったね〜ハル。ニヤニヤ」
「ちくしょう……かひゅー……轟沈寸前で帰ってきやがったのに……風呂に入って傷を癒やした時は必ず……かひ
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