第4話「やりこみ要素があればあるほどゲームは楽しめる」
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王は冷静な口調で語っているものの、敵の城を見据える瞳には闘志の炎が燃えたぎっていた。また、そこには憎しみにも似たモノも混じっている。
それもそのはずだ。敵は彼にとって最優先に護るべき主を汚染し、挙句にはその存在すら抹消しようとしているのだ。
「でも流石は敵の本拠地だけあって黒タイツ一色ですよ。一体どうやって『獏大魔王』の所まで行くんですか?」
崖下でウヨウヨうごめく獏ウィルス軍団を眺めながら新八が尋ねる。
『獏』の支配下になった現在、どこもかしこも全身黒タイツのウィルスだらけ。
しかも強そうな武器やそれを備える獏ウィルスも厳つい風貌だ。白血球王国で出くわした奴らとは見た目もその兵力も桁違いである。
だが獏ウィルスの大軍勢に臆する様子もなく、白血球王は真面目な目つきで新八達に告げる。
【城の周辺を巡回しているのは最新型のウィルスばかりだ。以前のようにたやすくは倒せん。万全に作戦を練って行くぞ】
こんな所で倒れてなどいられない。もうこれ以上主の体内にウィルスを増やすわけにはいかないのだ。
『獏』の根源である『獏大魔王』さえ倒せば、全ての侵略を止められる。
なんとしてでも親玉を駆除しなければならない。
この命に代えても。主を救う為にも。
「オイオイ、勘弁してくれよ」
盛り上がりを撃沈させる――緊張感の欠片もない、面倒くさそうな声が割って入って来た。
振り向くと、銀時がこれまたやる気のない目でだるそうにボリボリ首を掻いていた。
「ここまで来てまどろっこしーんだよ。最新型つったって、どうせたまのドラクエ脳食って進化したドラクエごっこしかできねぇバカどもだろ。コイツと同じで」
銀時が指差すのは、白いマントと白い服、背中に長剣、革靴と手袋、額には王冠――と、典型的な勇者の衣装に身を包んだ白血球王。
それはまさにRPGお約束の塊であった。
加えて戦士到来を告げる『予言』や『世界を救うための大魔王を倒す旅』。
ここまで定番要素をぶつけられると、冒険できることに興奮するより萎える気持ちの方が大きい。立て続けに起きるベタ展開にいちいち頭を使うなんてアホらしい、と銀時は思ったのだ。
「作戦なんてめんどくせーんだよ。ガンガン行こうぜ」
深く考えもしないまま、銀時は新八達を置いて先に歩き始める。
だが彼の何気ない先陣は、一本の腕に阻まれた。
【待てい!】
銀時の首にラリーアットが炸裂。
それを食らわした白血球王は、首に触れた部分の腕をハンカチで拭いながら、呻き苦しむ銀時に呆れ切った口調で言う。
【魔王の根城を前に『ガンガン行こうぜ』など、愚策中の愚策!貴様のような奴が率いるパーティが魔王に辿り着く前にMPを使い切り、魔王に何もできず長ったらしい復活の呪文をメモるハメになるんだ。よって、魔
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