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Rの証明
第一話  彼の友達
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優しく二回叩き、もう一人が小さな出入口の鉄格子を開ける。これが日常。

「いつもありがとう、じゃあ、行ってきますっ」

 ぶんぶんと手を振って駆けて行く彼。庭に脚を踏み入れた途端に、肩で眠っていたイーブイは目を覚まし、飛び降りて共に駆ける。
 その背を見送り、ガードマンの二人は満足げだった。

「お嬢様は……レッドくんと出会えて本当に良かったなぁ」
「違いない。旦那様は忙しいし、奥様からは化け物なんて言われてたんだ。心が歪んでしまう前に、あんないい子と出会えたのは……もう、運命だろうな」
「はっ、気障なセリフだな。だが、悪くない」
「そうさ、悪くない。子供の内くらい幸せに過ごすべき。そう思うだろう? 俺達みたいな奴等にとっては、な」
「……そう、だな」

 打って変わって哀しげに表情を落とした二人。もう見えなくなった彼の背を追い掛けるように視線を庭に投げた。
 轟、と一陣の風が吹いた。彼らの黒いスーツの裾をはためかせる程の強い風だった。
 翻ったスーツの端には、赤い一文字のアルファベットが縫い付けられていた。

 レッドのイニシャルと同じ、“R”の一文字であった。



 ???



 光の反射で深いパープルに輝く黒髪が風に靡く。少女にしては完成された上品さで紅茶を味わえば、後に零すため息だけで視線を惹きつけて放さない。
 宵の刻を思わせる深い瞳の内にあるは知性の輝きであるのか、それとも魔のモノに近い魅惑の光であろうか。
 風が吹いた。日よけの帽子が飛んでしまう程の強風。

「あ……」

 声を出してももう遅い。掴もうとした手は間に合わず、悪戯な風に攫われてしまった。
 舞い上がる白の帽子を哀しげに見つめていると、機械音が一つ。
 紅い光線が空に打ち上がる。それはこの世界で毎日のように見るありきたりな光景。
 モンスターボールから出てきたポケモンが、紅い光から一瞬でカタチを作って世界に顕現する。
 蝙蝠を思わせるそのポケモンは小さな翼をはためかせ、大きく開いた口で見事に帽子をキャッチした。
 パタパタと羽音を響かせながら降下してきたそのポケモン――ズバットは、召喚した主であるキャップを被った少年の元に近寄ると、優しく帽子をその手に落として肩に留まった。

「ん、良い子」

 愛情を持って撫でる指先に擦り寄るズバットは肩に幸せそうに鳴き声を上げる。それを見上げるイーブイは何処かふくれっつらをしてその光景を眺めているが邪魔をするつもりはないらしい。
 ジトリ……と少女は少年のことを睨んでいた。

「……遅い」
「ごめんね、朝ごはんを作って洗濯してたんだ」
「そんなの使用人に任せておけばいいでしょう?」
「ダメだよ。自分で出来ることは自分でしたいんだ。ナツメも今度一緒に料
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