プロローグ
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わせたポケモン達を見て心配そうに駆け寄る人間たちが、さらに不思議だった。
だから、彼はそれから数日後に差し出された手を取ったのかもしれない。
コラッタが二匹、すやすやと隣で眠っていた。ポッポが膝の上であくびをしていた。自分の居場所だとでも言うように、オニスズメが頭の上で目を光らせていた。
どれもが野生では無く、ポケモンセンターに預けられた他人のポケモンであった。主が戻ってくると彼の元を離れ、また別の、リハビリ中のポケモン達が彼の元に集っていくのが彼の日常である。
一人の男は、なんとも面白いモノを見つけたというように、窓で哀しげに眉を寄せてバトルの様子を見つめている彼に近付いて行き声を掛けた。
「なぁ坊主。ポケモンと共に生きたいか?」
「……うん」
「そいつらが生きる世界を守りたいか?」
「……うん」
「なら、俺と一緒に世界を変えよう」
「世界を、変える?」
「ああ、そうだ。世界を俺達のモノにしてやればいい。人を支配すれば、ポケモン達だって守れるからな」
言葉の意味を理解するには、些か彼は若すぎた。
それでも彼にとって、その誘いは甘美な響きを持っていた。
「……バトルなんかさせなくても良くなる?」
ふと、男の瞳に陰が差す。哀しみなのか、怒りなのか、彼には分からなかった。
「それは坊主次第だ。俺が変えた後は、坊主が変えたいように変えればいい。方法などいくらでもある」
「……おじさんの話、難しい」
「おじっ……コホン、まあ、俺と来るなら坊主が変えたい世界のカタチが見つかると思う」
彼はじっと、膝の上に座るポッポを見つめた。恥ずかしそうに見上げてくるくりくりとした瞳に見つめられて、彼の頬が緩まる。
「分かったよおじさん。ボク、おじさんに着いて行く。ポケモンが傷つかない世界に出来るなら」
見上げた瞳には決意の色。煌々と光り輝く瞳は、男が直視するには眩しすぎた。
それでも目を逸らさず、男は彼の瞳を覗き込む。
「……契約成立、だな。坊主、名前は?」
「レッド」
「そうか。ほら、お前ら。レッドの門出だ、祝いを込めて見送ってやれ」
ビシリと張りのある声で男が言うと、レッドの周りに居たポケモン達は、寂しそうな目をしながらも何故か一列に並んだ。
おお〜、と彼は素直に驚いた。どうだ、と自慢げに笑う男は子供のようだった。
一匹一匹の頭を撫でながら、レッドは微笑みを残していく。
「バイバイ、皆!」
最後にふりふりと手を振って向き直り、そのまま手を男に差し出した。
「おじさんはこれからボクのお友達だよね? だから握手」
「まずおじさんと言うのをやめろ。まだそんなに年は行ってない」
手を握り返すこと無く、咎める声には不満だけがあ
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