第3話『入学試験』
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・・・だが、結果は残酷なものだった。
「何で階段が無いんだよ!!?」
まさかの廊下のどこにも階段が見当たらないということに、俺はキレて叫んだ。
せっかくここまで階段があると信じて走ったのに、結果がこれとは…。きっつ…。
「まさか、教室の中か?」
にわかに信じ難いが、もしかするとどこかの教室の中に階段やら梯子やらがあるのかもしれない。というか、それしか可能性がない。
となると、また今の道のりを遡って、その上教室を一つ一つ調べ上げなければならないのか。そんなことしてたら、すぐに時間なんて経ってしまう。
『困っている様だね、晴登君』
「うぉっ!?」
思考を巡らせていると、またもや急に山本の声が廊下のチャイムから大音量で聴こえ、俺は飛び上がる程に驚く。
あぁ、廊下って音が響くんだなと、どうでもいいことを考えてしまった。
『このままだと時間が無いから、君にヒントを与えよう』
ヒント? めちゃくちゃ欲しい。早く下さい。
『君はこの階に階段があると思っているだろ?』
図星だ。よく見ていらっしゃる。
『実はこの階、というかこの校舎だけ階段ではなく、エレベーターを使って階を移動するんだ』
学校にエレベーターだと? これは予想外だった。
しかし、そうだとしても、俺には疑問が残る。
「だったらどこにエレベーターがあるんですか? 少なくとも、俺は見ていませんが…」
『廊下の電気のスイッチはわかるかい? まずはそこに行ってみよう』
「ここですね」
『うん。では、上に行きたいなら上の、下に行きたいなら下のボタンを長押ししてごらん』
なんだそのゲームみたいな押し方。
えっと…まずは外に出るから下だな。
そう思って俺は、下のボタンを長く押した。すると・・・
「うわっ!?」
『ふふっ、驚いたかな』
俺が驚くのも無理はない。なぜなら、電気のスイッチの隣、何も無いただの壁だと思っていた場所から、突然エレベーターの扉らしきものが浮かび出て、しかも開いたからだ。というかエレベーターだ。一体どんな原理なのだろう。
『その扉は常に保護色を使うんだ』
たった今50%解決された。
多分、普段は保護色で隠れて見えないが、スイッチを押した時だけ浮かび上がり、仕事をする…といった所か。
どう考えても不便だろ、これ。
『さて、ヒントはここまでだ。後は大丈夫だね? ではまた』プツッ
そして山本からの放送が切られた。
少なくとも“移動”に関しては問題は無くなったと思う。
だが“地形”に関しては全くわからないので、大丈夫な訳が無い。
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