第3話『入学試験』
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思っていたのに、随分と簡単なお題が示されたからだ。
『簡単だと思ったろう? だが、よく考えてみるんだ。君はこの学校の体育館はまだ見ていないし、場所も知らない。さらにこの敷地の広さだ。単純だが中々難しいぞ』
そういうことか…。
ようやく山本の意図が読めた。確かに俺はこの学校の地形は全然わかんない。だから建物探しでも一苦労、って訳だな。
『君がもし15分以内に体育館に来れず、入学式に間に合わなくなったら、君の入学は許可しない』
「は!?」
その言葉には、俺はたまらず声をあげて驚いた。
待て待て、いくらなんでも横暴過ぎやしないか!? 義務教育って何だっけ!?
『もちろん、間に合えば普通に入学式に参加だ』
「質問をいいですか?」
俺は落ち着くことも兼ねて、ここでいくつか質問をしようと試みた。もし山本がこちらを監視しているなら、質問を聞いているだろう。
『いいよ』
ほら、案の定こちらの様子は向こうに丸分かりの様だ。許可したのがその証拠だ。
そして俺は質問を口にした。
「なぜこんな事を?」
『入学試験、と言ったらいいかな。君がこの学校への入学を賭けた試験さ』
「何で俺一人だけ?」
『選ばれたんだよ。皆の中から』
ダメだ。理解できない。
入学試験なら平等にするべきだろうし、そもそも“選ばれた”って…?
『とにもかくにも、君には時間が無い。このゲームの意味は、君が体育館に着けばわかることさ。では健闘を祈るよ』プツッ
山本の声が途絶えた。つまり試験開始というところなんだろうが…。
いや、考えるのはよそう。今は体育館に向かうのが最優先だ。
ガラッ
取り敢えず俺は教室のドアを開け、まずは廊下に出た。が、俺の足は即座に止まった。
「嘘だろ…」
そこで俺が見たのは…全長100m程だろうか、何に使うのかもよくわからない位の長い長い廊下だった。
そして俺は、今自分が廊下の端に居る事を察した。
「しかも向こうまで行くしか無いのか…」
なんと不便な事だろう。
俺の周りには階段などは無く、ただ幅3m程の廊下が続くだけだったのだ。
「…行くか。もう1分くらい経っただろうし」
恐らく体育館は外にある。だからまずはこの校舎を出る必要があるのだ。ここで足踏みをしてはいられない。
俺は一歩を踏み出した。というか全速力で走った。
他の教室には目もくれず、ただ黙々と廊下の反対側へと向かった。
きっとそこには階段がある…そう信じて。
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