10 命名『バッテン』
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轟音と共に扉が吹っ飛ばされた。
“エルザ姫”が一息で殴りつけた拳によって。
「………………はへ?」
―――扉が……飛んだ?
一瞬、目の前の光景を頭が理解できなかった。
数秒かけて理解するも、その光景に呆気に取られて唖然となる。
あれは自分が必死こいて開閉したはずの門。
それが……放射線を描いて遥か彼方へと吹っ飛ばされていた。
しかも左右とも、だ。
「………」
その凄まじい威力に、僕は開いた口が塞がらなかった。
こんな少女の体のどこにあんな力があるのか、戦慄を感じずにはいられなかった。
と言うか…思い出した………アレ、僕も喰らった事があるんだった。
道理で、死ぬほど痛かったわけだ。
「…って、そんな事より…姫様ぁ」
驚いて忘れかけたが、我に返った自分はエルザ姫を改めて諌めた。
エルザ姫は僕を連れて戦場に飛び込もうとしている。
泣きそうな気持ちを抑えながら、そんな事を止めてもらうよう訴えた。
「考え直してくださいよぉ。 二人だけであの中に飛び込むなんてぇ…」
「ああ、そうだ。 そんな事よりお前、名前何だっけ?」
「え? ぼ、僕ですか? レヴァンテン・マーチン、ですけど…」
僕の訴えもどこ吹く風か、そんな事より、で軽く流されてしまった。
自分にとっては命に関わる事なのに…。
姫様は僕の名前を訊いて、天井を仰いで何やらブツブツと呟き始めた。
「レヴァン、レヴァン…レヴァンテン……ん〜、なんか呼ぶの面倒臭いな」
「(酷い)」
エルザ姫の呟きを聞いて、僕は心の中で嘆いた。
人の名前をどう呼ぶかは人の自由ではあるけれど…何か心に傷が付きそうである。
「ん〜〜〜…」
エルザ姫は間延びして唸るほどの長考をする。
フルネームじゃないのに、名前一つでそこまで悩む必要があるのか…そう指摘する勇気もなく、しばらく見守る。
そうしてる内に、エルザ姫は再びポンッ、と握り拳で掌を打った。
エルザ姫の顔が、絡んだ糸が一気に解けたようなスッキリした表情に変わる。
そして好戦的な笑みを浮かべ、僕に向かって人差し指を突き付けてきた。
「よし―――これからお前の呼び名は バッテン って事で決定な!」
「バ、バッテン!?」
な、何それー!?
バッ
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