10 命名『バッテン』
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る。
うん、大丈夫なはず……多分、きっと。
そうと決まれば、僕は翻ってまだ封鎖されていない門の方へとコソコソと足を向ける。
横幅で10人以上は通れそうな門を前に、自分は両手を当てて力を込めて押した。
「ふ、んぬぅっ……!!」
頭に血が昇ってしまいそうなほどに力を込めて、門はそこでようやく動き出す。
重い門を押して何とか出来た隙間から中に入った。
そして今度は扉を閉めるために、反対側から力を込めて押し戻した。
「ふん、ぬぎぃっ……!」
力を込めた甲斐はあって門はバタンッ、と重い音を立てて閉ざされた。
ホッ…と一息をついて、一瞬だけ“これで安心”と後ろ向きな思考が掠めたが、頭の隅っこにそっと押し込んでおいた。
……よし。
まずは剣を取りに行こう、こっそりと。
傭兵全員が戦闘してるのに、ここで自分が誰かと遭遇したりしたら何を言われるか―――。
「―――何してんだ、お前?」
「っひょええぇえっ!?」
ビックリした。 ビックリした!
振り向いた所に人の顔があって、僕は飛び上がるほどに驚かされた。
自分の思惑はいきなり出鼻を挫かれてしまった。
「あ、あな、あなたは……」
しかも…だ。
目の前にいる人物にもう一度驚かされた。
こっそりと剣を取りに行く自分を嘲笑うかのようなタイミングで現れたのは…まさに驚くべき人物だった。
「エ、エルザ…姫、陛下ぁあ!?」
見る事がなかったと思っていた顔がそこにあった。
少し幼げで好戦的な顔。
宝石のような凛とした瞳。
軽くまとめて流した金髪。
ついでに丈の短い上質なドレス。
それはどこからどう見ても、ほんの数日前に見た姫陛下その人だった。
「おう、姫陛下だぞ。また会ったな……レヴァン、何とかだっけ? なんだってここに…」
冷や汗通り越して血の気が引いた。
傭兵は雇われる側であり、エルザ姫は所謂雇う側の元締。
その傭兵がこんな所で一人でウロウロしている所を見られたら…ただサボっている様にしか見えないではないか!
もはや誤魔化しようが無い。
自分に迷いはなかった。
……やられる前に、やらなければっ―――!
「すみませんでした―――!」
そう、僕は迷う事なくその場で土下座を実行した。
シュバッ、と手頃な場所に横っ跳びして、床に手と額を置いて跪き、|一心不乱《いっしんふら
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