10 命名『バッテン』
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含めて傭兵達全員をは砦の外にて、国境側に向かって整列させられていた。
王都側は正規兵が少数が見張りについて、大半の正規兵が砦の中でエルザ姫の警護に当たっている。
結構急な事だったから、正規兵の人に急かされて傭兵はゾロゾロと外へ追い出された。
その時は順番とか序列とか意識していたわけではなく、バラバラかつ適当に並んでいた……はずだった。
「おい、返事しろよマーチン」
「てめぇ、無視してんじゃねえぞ」
「後ろ向けねぇんだよクソッ、何とかしろよ」
いつもの傭兵三人組に囲まれているのは何の偶然でしょうか?
左右と前方、三方向から恨めしい雰囲気がモワモワと漂ってくる。
別にこちらには何の落ち度は無いのに、あまりにも居心地が悪い…。
口汚い罵り言葉を挟みつつ恨み節が延々と続く中、昼時は過ぎていく―――…その空気が変わった。
ざわ…ざわ…―――!
ん? 何だろう?
左右と前方以外で、何やら周りからざわめきの声が聞こえてきた。
まるで動揺が声に表れ、それが毒のように傭兵達に伝わって広がる。
ここからでは整列している人の壁が邪魔で、何が起きているのか知る事は出来なかった。
しかし次の瞬間―――ただ一つの怒号が答えを教えてくれた。
「―――敵襲だー!」
その怒号をきっかけに、その場の空気が一気に強張った。
「え、えぇえっ…!? て、敵襲って……むぎゅうっ!?」
後ろから人の波が僕を押し倒してきた。
後列にいた傭兵は列を乱し、我先にと前に詰め寄って前方の光景を確かめようと前へ前へと殺到する。
「いだっ、いだだっ…! ちょ、ふ、踏まない、でへぇっ……!」
その波に揉まれて、踏まれて、蹴られて、僕は傭兵達の下敷きにされた。
足蹴にされながらも僕は見た。
足の隙間を縫って見えた向こうの景色には―――大挙する兵士の群れが押し寄せてきていた。
地鳴りのように響き渡る無数の足踏み。
獣の咆哮に聞こえる声が重なり合う。
遠目からでもわかる敵意の集合体。
「あ、あわ、あわわ……」
何度目にしても慣れない暴力の大行進に声が震えた。
何の前触れもなく襲撃されていると言う事実がより恐怖感を煽った。
目の前の光景を前に頭が真っ白になりそうな中、怒号が響いた。
「野郎ども!! やっちまうぞ!!
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