10 命名『バッテン』
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
デトワーズ皇国エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ姫陛下。
彼女の突然の訪問という非日常は、砦に軽いパニック状態に陥らせた。
正規兵から正規兵に、傭兵から傭兵に。
かなりあり得ない展開に、大人しくしている者は限りなく少なかった。
傭兵を詰めているような一防衛拠点に姫様が来訪するとなれば、各々の間に噂が飛び交う。
事態に理解が追いつかない者もいれば、名誉欲・出世欲・金欲・物欲・性欲、もろもろ思う者が出てくる。
瞬く間に、エルザ姫の事であれこれを思惑を巡らせる者で砦が一杯になった。
もはや一時的の流行だ。
―――ここで一つで例え話をしよう。
家に突然、とても畏れ多い方がやってくるとする。
そこで家の中が散らかってるとする。
そしてそれを片づける暇もなければ、ゴミとして捨てる暇なんかないだろう。
ならばどうするか?
十中八九、家のどこかに一か所にまとめて隠すのが人情というものだろう。
……ちなみに僕はベッドの下が隠し場所だった。
まぁ、その畏れ多い方というのがエルザ姫であり、家というのが砦であり、散らかってるゴミというのが傭兵だ。
なくては困る、しかし視界に入れるのを憚られるような困った存在である傭兵をどこへやるのがいいか。
答えは…頭上を仰げば見える青空が教えてくれた。
どう見ても屋外です。
砦の外です。
「おい、何よそ見してんだ?」
「ひっ」
左隣にいる傭兵に睨まれて、上空を仰いでいた僕は思わず小さな悲鳴を上げた。
「なんで俺達が外にいなきゃなんねえんだよ。 なあ、どういう事だマーチン?」
「そ、そんなの僕に言われても〜…」
そして右隣にいる傭兵が不満そうな声を露にしながら、肘で小突いてきていた。
「あぁっ? 何か文句あんのかぁ?」
「あ…ありませ〜んっ!」
今度は前方にいる傭兵から、首だけこちらを向いて物凄く機嫌悪そうな声で脅しつけてきた。
どっちを向いても怖い人がいて、自分は顔の向き所を失っていた。
どうしてこうなってしまっているんだろう…。
事の発端はさっきも言ったように、エルザ姫の突然の来訪によるものだ。
そのせいで僕を
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ