ファーストミッション
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でも辛いものは辛いのだ。
「ま、お咎めもこれぐらいにして……と。皆、出かけるぞ」
『了解』
「はい? 出かけるって、どこへですか?」
自分だけわかっていない事で置いてけぼりな気分になったフェイトに、アーネストはニヤリと笑って告げる。
「皆で飯食べに行くのさ。ああ、代金は俺持ちだから気にしなくていいぞ」
「いやいや!? 私、遅れて皆さんに迷惑かけたのに、奢ってくれるだなんて……」
「いいからいいから、つべこべ言わずにさっさと行こうか!」
「えぇ〜!!?」
そうやって驚きの表情のまま連れていかれるフェイトと満面の笑顔で走っていくアーネストの姿に、カイは手で頭を押さえる。
「はぁ……子供を酒場に連れていきたがるって、大人としてどうなんだ……? ……“子供同士で会わせてやりたい”気持ちは一応わからなくはないがな」
ノアトゥンA区画、酒場ツインバタフライ。
そこは大通り沿いに建てられたシンプルな様相の店で、来る時にちょっと柄が悪く陰険な人達がたむろっていたのだが、118部隊の面々を見るなり泡を喰った様に慌てて店を出て行った。フェイトを含めてもたった5人しかいない118部隊を見るだけで去ったのは、自分達が治安を守る管理局員だからだとフェイトは思った。
そして訪れたこの店を仕切るのはフェイトと同じくらいの年齢の少女と、そんな彼女を手伝うこれまた同年代の少年。店員はこの二人だけで、子供しかいない店をフェイトは訝しんだが、アーネスト達はあまり気にせずにカウンター席に座って料理などを注文していた。
「あの……アーネスト隊長。この店って、どうして子供二人しかいないんですか? 親や大人の人は一体……?」
「ん? あぁ……」
少女に注がれたカクテルを置いたアーネストは、一拍置いてから辛さを滲ませて静かに言う。
「俺達も詳しくは知らないが、テロリストのせいで死んだらしい」
「死んだ!? そんな……」
彼らの境遇を知ってつい俯いてしまうフェイトだが、同時にアーネストが何故ここに自分を連れてきたのかわかったような気がした。彼らの友達になって欲しい、という新しい部隊の隊長の優しさを……。
また、どうしてここをよく使うのか考えた所、先程のような連中に店が荒らされたり、酷い目にあわされたりするのをなるべく防ごうとしているのだろう。それらに気づいたフェイトは、いきなり迷惑かけた事に対する謝罪の気持ちがより大きくなるものの、その分この部隊でなら上手くやっていけそうだと感じる。ただ、今は目の前の子達がどうしても放っておけず、たどたどしくも話しかけてみた。
「ねぇ……あなたの名前は?」
「……すみません、今は仕事中なので……」
「ごめん、別に邪魔したい
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