第九十九話
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無視して放たれるソードスキル二連打。練習に付き合った俺とリーファだけが知っていたが、どうやら完全にモノにしていたらしい。
「せやっ!」
左の剣で放たれていたソードスキルは、単発重攻撃《ライトニング・フォール》。逆手に持ち替えていた片手剣を、金色のミノタウロスに刺しながら落下する。その落下の勢いを込めた一撃もさることながら、《ライトニング・フォール》に込められた属性は雷――刺し込んだ片手剣を避雷針に見たてて、雷を刺した場所に発生させるソードスキルなのだ。アスナの魔法で水浸しになっていた金色のミノタウロスは、倍以上の威力を誇っていた。
刺した間中発生するその雷のソードスキルに、もちろん金色のミノタウロスは、たまらず胸部のキリトを排除しようとする。痺れる身体で斧を持っていない手をキリトに伸ばすが、その手がキリトに届く前に俺も胸部近くまで跳躍すると、日本刀《銀ノ月》の抜刀術の勢いで斬り払ってその軌道を逸らす。
「キリト!」
「ああ!」
そろそろキリトのソードスキルの硬直が切れる時間だ。こちらの呼びかけに答えたキリトが、右手の剣を金色のミノタウロスに振りかぶり――次の瞬間、金色のミノタウロスの姿は、ポリゴン片となって消滅していった。
「……あ」
「どうした?」
キリトとともに着地しながら、俺はふと思い至る。金色のミノタウロスを『絶好の試し斬り相手』などと言っておいて、結局新たな日本刀《銀ノ月》を使うこともなく、こうして当のミノタウロスはポリゴン片だ。ちょっと残念な気持ちななりながら、それでもまだ黒い方がいた、とそちらを見てみると。
「どんなもんよー!」
……他のメンバーが物理攻撃が弱点の黒いミノタウロスを、思うさまボコボコにしているところだった。特にリズが水を得た魚のようになっていたのか、倒れた黒ミノタウロスに乗ってポーズを取っていた。戦闘に不向きな種族とは……いや、人のことは言えないが。
「ショウキ、今回も囮ご苦労さん」
とにかく。今は日本刀《銀ノ月》を試し斬りする時ではないらしく。夫妻のコンビネーションで見事に金色のミノタウロスを料理してみせた旦那に、ひとまず八つ当たりすることにした。
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