第九十九話
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いのは先刻承知。蚊にでも刺されたかのような金色は、斬られた足でそのまま蹴りつけてきた。それをしゃがんで避けながら、俺は腰からある物を取り出していた。それこそがソードスキルの使えない俺でも、属性を司る攻撃を扱うことの出来るリズの奇策。デフォルメされたレインの、無駄に上手い似顔絵が描かれたソレを――
「ショウキくん! 離れて!」
――発動する、前に。アスナから受けた警告の言葉に対し、日本刀《銀ノ月》をすぐさましまいながら、高速移動術《縮地》によってその場をすぐさま離れていく。俺を見失った金色のミノタウロスは、その場で耳をつんざくほどの雄叫びをあげ始めるが、その時にはもう俺は範囲内にはおらず。
代わりと言っては何だが、大質量の氷が金色のミノタウロスに襲いかかった。上位水魔法《アブソリュート・ゼロ》が炸裂し、どうやら魔法攻撃が弱点だったらしい金色に大ダメージを与えていた。そのままレコンの闇魔法も炸裂していき―ああ見えて、レコンは一流のメイジとしても通用する。あの場から離れていなければ、と思うとゾッとする――そしてアスナが足元をしっかりと凍らせ、金色のミノタウロスの動きを止める。
「……よし」
そこでレコンの闇魔法も打ち止めとなり、今度こそ試し斬りだと金色のミノタウロスへと疾走する。……しかし思った以上に自分が逃げすぎたのか、俺より先に金色のミノタウロスに近づいた者がいた。
旋風のような速度で駆ける黒いプレイヤー――リズが作った二刀を手に持ったキリトだった。跳躍とともに炎を伴った《ヴォーパル・ストライク》が、金色のミノタウロスの胸部へと吸い込まれていく。そして先にアスナが放っていた、周囲を漂う魔法の氷が溶けていき、金色のミノタウロスは水にまみれていた。
「うぉぉぉぉっ!」
そして《ヴォーパル・ストライク》の硬直も消え、気合いを込めたキリトの八連撃ソードスキル《ハウリング・オクターブ》が炸裂する。目にも止まらぬ高速の五連突きの後に、ミノタウロスの胸部を斬り下ろして深々と刀傷を刻み、ソードスキルの効果として斬り上げながら空中を飛翔し、トドメに全力の上段斬りを叩き込む。
しかしまだ終わらない。あとはソードスキルの硬直で落下するだけの筈が、キリトの連撃はまだ止まる気配はない。
――何故ならば、まだキリトのソードスキルは続いているからだ。正確には、右の剣で放たれた《ハウリング・オクターブ》は上段斬りで終わっているが――左の剣で発動しているソードスキルは、まだ始まってすらいない。
キリトの隠し玉《スキルコネクト》。二刀流を使った時のみ使えるソレは、簡単に言うならば右手と左手のそれぞれの剣で、別々のソードスキルを使うことだった。当然ながら実装されなかった《二刀流》ユニークスキルの代替品であり、硬直を
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