第九十九話
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ミノタウロスはそのままの勢いで突進し、止まりきれずに閉じた入口に衝突したが、もちろん何も聞いた覚えはない。
「レコン! 確かめるわよ!」
「うん!」
とはいえ隙は出来た。その隙を突いたレコンのカマイタチが黒いミノタウロスを襲うものの、やはり先のアスナの魔法同様、何ら効いた様子を見せない。ただ、カマイタチに混じって跳んだリーファの胸部への突きは、そのHPバーを少し減じさせる。
「やっぱりか……」
回復魔法がメインとはいえ、アスナの魔法スキルとて低いものではない。それがまるで効かないということで、要するにあの黒いミノタウロスは魔法への耐性が規格外に高いのだ。ならば対する金色のミノタウロスは――
「固っ! 全然効かないじゃないのよ!」
――もちろんその反対らしく。アスナの魔法に拘束されていた金色のミノタウロスを、思いっきり叩いたらしいリズの言葉が広場中に響き渡った。金色は物理攻撃が効かず、黒色は魔法攻撃が効かない――ということらしく、自ずとどちらを担当するかは決まる。
「キリト、金色のタンクは任せてくれ」
「……ああ! みんな、態勢を立て直してくれ!」
キリトにそう言い残すと、俺は金色のミノタウロスへと走り出した。恐らくは金と黒、二人揃って行動する嫌らしいタイプであろうが、図らずもアスナの魔法によって分断が完了している。転んだ方と転ばなかった方――それぞれのミノタウロスへ、バラバラになっていたメンバーは集まっていく。
「おっと!」
黒色のミノタウロスと合流しようとした金色に駆けつけ、俺は風の魔法を伴ったクナイを発射する。まるで銃弾のように発射されたクナイだったが、金色にはまるでダメージはないようで。流石は邪神級といったところか――だが主目的である、こちらに目を向けさせることは成功した。
「来い……!」
俺の言葉に金色が反応したかは定かではないが、金色のミノタウロスは走り回る俺に進路を変更した。こちらも走るスピードならまあまあ自信はあるが、あちらとは歩く足の幅が違う。あっさりと追いつかれ、金色はその斧を振り下ろす。
「さて……」
大地に斧が振り下ろされた衝撃に逆らわず、空中へ投げ出された勢いで斧に飛び降りると、俺は新たな日本刀《銀ノ月》の柄を掴む。物理攻撃をほとんど防ぐ敵と、今までならばどうやっても相手に出来なかった敵だ――試し斬りには相応しい敵だ。
「……ナイスな展開じゃないか!」
斧の上に飛び乗った俺を吹き飛ばそうと、まるでハエでも払うように――事実それくらいの体格差だ――金色は斧を適当に振りまくるが、当の俺は既に斧からは降りていて。人間でいうスネの部分へ、高速の抜刀術を叩き込んだ。
「はっ!」
……しかし、物理攻撃が効かな
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