第九十九話
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るユウキは、自分たちがいるダンジョンがどれだけ高いか確かめながら、特に気にしていないかのような答えを返す。いつも空は飛んでいるが、まるで山頂のような景色にユウキの口から感嘆の声が漏れる。……ただ、雪が舞う高所ということで寒かったのか、数秒でくしゃみが出てきていた。
「うう、寒い……」
「……コート、いるかな?」
両腕で身体を抱き寄せて震えるユウキに、レインは先とは違う意味で苦笑しながら、自分が以前使っていたマント型のコートを差し出した。それを見たユウキは断るかのようなポーズを取るが、やはり寒いものは寒いらしく。
「大丈夫。ほら、二つ持ってるからさ」
「うう……それなら……」
堪忍して受け取ったユウキはいそいそと着込んでいき、レインもそんな光景を微笑ましく見ながら、自分もユウキと同じマントを羽織っていく。全身をスッポリと覆うソレは確かに防寒性に優れているらしく、かつ動くのに支障はない辺りは素晴らしい。
「……うん、ありがとねレイン!」
「どういたしまして。備えあれば憂いなし、ってね!」
ユウキも試しに少し跳ねてみて動作を阻害されないことを確認しつつ、とりあえず二人はダンジョンの奥へ向かっていく。もうユウキの翼で飛翔することは難しい以上、とりあえず前に進むしかない。とはいえ、女神が言っていたように邪神級モンスターは出払っているようで、モンスターと戦うことはなく、岩で出来たトンネルを歩いていく。
「ね、レイン。なんでこんなコート持ってたの?」
敵が出てこないとはいえ周囲を警戒しながらも、元来お喋りな性格かつレインという人物に興味があるユウキは、レインに話しかけながら進む。
「何でって言われると……色々準備してから出かけちゃう性格、っていうのかな」
「あー! それ、アスナも言ってた。ボクには、いまいち分からないけど……」
頬をカリカリと掻きながら照れ隠しをしつつ、ユウキは貸してもらったマントをチラリと掴みつつ、少し考え込むようなポーズを示す。
「大人のお姉さんっていうのかな、そうなるのに条件なのかも」
「お姉、さん……」
ユウキからすれば、特に何でもない一言だったのだが。その一言を聞いたレインは、突如として足を止めてしまう。いきなり心ここにあらず、といった様子になったレインに、ユウキは慌てて話しかける。
「レ、レイン? どうしたの?」
「あ……ご、ごめん。ちょっとボーッとしちゃって!」
大丈夫、大丈夫――と喋りながら、無理やり笑顔を作ってレインは歩きだす。ユウキは一瞬迷ってから、その手を掴んでレインの歩みを止めると、手をつないだまま隣に立った。呆気にとられたようなレインに、ユウキは構わず語りかける。
「レインとは会ったばかり
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