第九十九話
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大ギルドであり、もちろんクラインも襲われたことや戦ったこともある。……間違いでなければ、その中にルクスの姿があった。
「……いや、別に尋問してるわけじゃねぇんだ。ただよ、何か変なこと考えてなけりゃ……な?」
目を伏せて何も語らず、身体が小さくなったかのように萎縮するルクスを見かねて、クラインは少し語気を弱らめた。別に《笑う棺桶》に似た人物がいたから、という理由で糾弾しているのではなく、ただクラインはクラインなりに心配していただけなのだから。先の《死銃》事件の時のように、まだあの集団は終わってはいないのではないか、と。
「そ、その……私は……ひゃっ!」
「ルクスさーん! クラインさーん!」
震える声で何かを語ろうとしたルクスの目の前を、小さな青色の竜――ピナが横切った。そのまま驚いたルクスの頭の上に座り、神妙な面もちをしている二人をキョトンとさせる。
「やっと見つけました! 二人とも、大丈夫……?」
遅れてやってきた飼い主ことシリカが、ピナを回収しながら向こうからやってくるが、その場に残っていた神妙な空気に感づいた。すぐさまピナとともに、ルクスを守るように背にすると、クラインに指を指して注意を始める。
「クラインさん! ルクスさんに何かしたんですか?」
「い、いや、何ってよ……」
今すぐにでもバブルブレスをぶちまかしそうな、そんなペットと似たような雰囲気を醸し出すシリカに、ついついクラインは圧倒されてしまう。元々、他のメンバーにルクスと《笑う棺桶》のことを言う気はないクラインは、何と説明すればいいやら戸惑っていると。
「ルクスさんは私たちの友達なんですから、セクハラは止めてくださいね?」
ルクスさん真面目なんですから、真に受けちゃいますよ――と続いていくシリカの言動に、すっかり周囲の張り詰めた空気は雲散霧消する。クラインにルクスもすっかり毒気が抜かれてしまい、どちらからともなく表情に微笑みが浮かぶ。
「あー……そんなことしてねぇよ。ちょっとナンパしてたんだけどよ、キリト様大好きってフられちまって。なぁルクス」
「あ、ああ……」
そんな三文芝居を疑わしげな視線で眺めていたシリカだったが、特に追求することもせずにルクスから離れていく。代わりと言ってはなんだが、せっかく回収したにもかかわらず、ピナは再びルクスの肩に飛び移っていく。シリカは肩を落として諦めつつ、ピナを撫でるルクスへと話しかけた。
「ルクスさん、クラインさんに何かされたら、絶対に相談してくださいね?」
「すまない。でも大丈夫だよ」
冗談めかした口調で話すシリカを、ほんわかとした笑顔でなだめるルクス、という光景を眺めながら。とりあえずクラインは、先程のルクスへの質問は、自分の胸にしま
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