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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十八話 三年の月日
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している。財源は景気高揚よりも国債の償還に充てろという声は必ず上がるだろう。その場合失業者と国債の保有者の間で財源の奪い合いが起きるに違いない。つまり持てる者と持たざる者の争いだ。深刻な対立が生じる事になる。
「我々が株の受け取りを拒否した場合は?」
「最悪だな、同盟は自壊しかねん。先ず同盟政府が企業を見捨てたと言われかねない。深刻な政治不信が発生するだろうな。反政府運動が頻発するのも間違いない。そして業績の悪化した企業は否応なく帝国に支援を求める事になる筈だ。帝国がそれを断れば企業は倒産する。経済恐慌の発生だ」
「帝国が受諾した場合は?」
「その場合は企業だけじゃなく同盟市民も同盟政府よりも帝国政府を信頼するだろう。併合は早まるかもしれん。帝国政府の判断ではなく同盟市民の懇願によってだ」
沈黙が落ちた。ややあってホアンが首を激しく振った。纏わり付く重い空気を振り払おうとしているかのようだ。
「国債は如何なんだ?」
「国債か、……帝国政府の指摘通りだ。新規に発行しようとしても不可能だろうと財政委員会も見ている。つまり株が売れようが売れまいが関係ないのだ。景気高揚策など取れないし借金返済のために緊縮財政にならざるを得ない」
ホアンがまた首を横に振った。
「……とんでもない大型不況の発生になるな」
その通りだ。しかもこの不況、出口が見えない。同盟の力では脱出は不可能だ。
「結局のところ同盟政府には信用が無いという事が問題の根本に有る。これは政治、経済、財政の全てに於いてだがその事が状況を悪化させている」
「三十年後には国が消えるんだ。信用なんて有る筈が無い」
「その通りだ。……帝国の提案はその信用を帝国が同盟に付与しようというものだ。受け入れれば資産の現金化にも歯止めがかかるだろう。間違いなく経済面での効果は有る。直ぐには無理でも株の売却も可能になるだろうな。有り難い話だよ」
最後は吐き捨てるような口調になった。帝国はこちらの弱みに付け込んでくる、不愉快だった。
「提案を断るかね?」
ホアンが窺うように私を見ている。
「断っても誰も幸せにはならんよ」
「では受け入れるのだな」
念押しするような口調だった。私が断るとでも思ったのだろうか? それとも覚悟を確認した? 安心しろ、ホアン。不愉快だが統治を投げ出すような事はしない。
「受け入れれば少なくとも財政面では安定する。その影響は大きい」
「だが帝国への従属度は強まる。政治面での混乱が生じるだろう。そうは思わないか、ホアン」
「それが帝国の狙いなのだろう。経済面での安定と政治面での独立性、そのどちらを選ぶのか……。その選択を突き付けているのだと思う」
なるほど、人はパンのみで生きるものではないがパン無しで生きられるものでもないか。文句を言う前に腹
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