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鎮守府の床屋
前編
9.季節外れの恐怖
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親子を連れて一度鎮守府に戻るか」
「調査はいいクマ?」
「ああ、光の正体は大体分かった。川内?」
「ほい?」
「悪いけど、その親子を運んでくれ。川内以外が運ぶと、その母親が牙を剥きそうだ」
「りょうかい。夜戦出来ないのは残念だけど、任せといて!」

 というわけで、俺達四人の肝試しは終了した。やはり俺の読みは正しかったようで、川内が子猫を抱えている間、その母親は川内の頭の上で静かに彼女の頭にしがみついていた。途中、球磨が好奇心で母親にちょっかいを出してみたが……

「ふしゃー!!!」
「いだいクマッ?!!」

 母猫からねこぱんちを食らって泣きそうな顔をしていた。ざまーみろ妖怪おぶさり女。

「ハル〜……怪我したクマ。歩けないクマ。おんぶして欲しいクマぁ〜……」
「そう言いながら元気いっぱいで歩いてるじゃねーか……」

 次第に鎮守府が近づいてきて明かりが見え始めると共に、ビス子の顔には血色が戻ってきて……

「よかった……小豆あらいに身体を洗われることはなかった……ぬらりひょんにも説教されなかったし、しょうけらにも覗かれなかったわ……世界の平和は守られたのね……私たちの勝利よ……ッ!!」

 と無駄に壮大な独り言を言っていた。

 鎮守府に戻ったら、今回の結果を提督さんに報告し、早速白猫親子を市街地の動物病院に連れて行く手はずを整えた。輸送任務についたのは、川内と球磨の二人で、終始震え上がっていたビス子と俺は、ここでお役御免となった。

「んじゃ、ちょっと行ってくるね!」

 手には大切に守るように抱きかかえた子猫。頭の上にはその母猫という出で立ちで、川内はフラッシュライトのような笑顔を浮かべながら球磨と共に出発していった。

 俺はというと、さっき見た二人の女の子のことを提督さんに話したくて、その後執務室に残っていた。提督さんは俺の説明を聞くなり、机の中の引き出しの中から、一枚の写真を取り出し、それを俺に見せた。

「提督さん、これは?」
「以前、この鎮守府に所属している艦娘のみんなで撮った記念写真だ。今も残っている面子は半分以下だよ……その写真を撮った時でさえ、全盛期の十分の一以下の人数だけどな……」

 なるほど……今いる面子も合わせて倍以上の人数の女の子たちが、この写真には写っている。加古の隣にいる女の子は……以前に俺が寝ぼけながら幻を見た子だ。古鷹だったかな。

 暁ちゃんの周囲には、彼女によく似たちっちゃい子が三人、仲良さそうにはしゃいでいた。

「その子たちは暁の妹たちだ。それぞれ、響、雷、電だな。響は本名はヴェールヌイと言うんだが……皆からは響と呼ばれていたよ」
「提督さん、この帽子……」
「ああ。今暁がかぶってる帽子は、響の形見だ」

 この子たちがみんな
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