前編
9.季節外れの恐怖
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はみんなも見ただろ?」
「んーん……私は見てないよ?」
「わたわたわたわたしも見てないわよわよわよ?」
「球磨も見てないクマよ?」
あれ? なんで俺だけに見えるんだ?
「……まぁいい。このまままっすぐ進もう」
「りょうかい! 夜戦出来るかなぁ〜……」
疑問を感じながらもまっすぐ進む。その先々で何度もゆらめく光を見たが、それは俺にしか見えてないようだ。しかも『ゆらめく』と言ってはいるが、その光は宙をふわふわと漂っているためにそう見えるだけで、よく見ると、実際は光そのものはかなりくっきりとしている。
「うーん……夜戦出来るかなぁ〜……」
そう。その光は、妖怪夜戦女の太ももに取り付けられた探照灯のような光だ。そんな光が、まるで俺達を導くように、チカッチカッと輝いてふわふわと漂いながら、まるで俺達を……いや、それが唯一見えている俺を導いている。
「お前たち、ホントにあの光が見えないの?」
「見えないクマ。見えてたら単装砲ぶっぱなしてるクマ」
「うん」
「ぎゃー!」
もうビス子のことは放っておいて……なんで俺にだけ見えるんだ……?
ついに光は、弱々しいながらも消えることなく漂い始めた。その光を追いかける俺と、そんな俺に必死についてくる川内とビス子。その光を追いかけてしばらく歩いたところ……
「ぉお?」
「クマ〜……」
「……?!」
「ひぃいいッ?! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃいいい」
少し開けた場所に出た。広さそのものはバーバーちょもらんまの敷地と変わらないぐらいだが、古ぼけた鳥居が建てられ、奥には小さな社があった。その社は小さなプレハブ小屋程度の大きさの社で、狭いながらも2〜3人は人が中に入れる程度の大きさのようだ。光は吸い込まれるように社に入っていき、その直後、社の中がぼんやりと輝き始めた。
なんだこれ……しゃれにならんぞ。おれにしか見えない光に導かれて来た場所には、古ぼけた鳥居と社……ヤバいオカルト臭満載だ。これはあながちビス子が妖怪について調べてきたのも間違いじゃないかもしれん……次第に恐怖で足がすくんできたが、背中には球磨もいる。足に力を込め、ガクガクとした震えをなんとか抑えつつ、俺は生唾を飲み込んで球磨に囁いた。
「球磨……」
「クマ?」
「なんかあったら、絶対守ってくれよ?」
「任せるクマ」
俺の背中で、球磨が単装砲を構える音が聞こえた。そんな頼もしい音を聞き、背中越しに感じる球磨の体温に勇気をもらった俺は……
「いくぞ球磨!!」
「クマぁあ!!」
球磨をかついだまま、ビス子と川内をその場に置き去りにして、社に向かって走って行き、入り口を乱暴に開け、中に入った。
――よかった 姉さんたちが来てくれたか
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