前編
9.季節外れの恐怖
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目線の先には、テンション高く『や! せ! ん!! や! せ! ん!!』とシュプレヒコールを上げて、元気よく右拳を振り上げている川内と、その傍らで不憫になるほど震え上がり、周囲に糸を撒き散らしながら納豆をご飯にかけているビス子の姿があった。よく聞くと、ビス子は『はは……大丈夫……私は戦艦ビスマルクなのよ……ガイストなんかに恐れおののくわけないわ……』とうわ事のように何度も呟いていた。
「球磨だけであいつらを統制するのは無理がありそうだ……どうも安心して任せることが出来ない……。俺は執務室を動くわけにはいかんし……」
「なるほど。確かに納得です」
「万が一、正体が敵性勢力だった場合は、戦闘は川内とビス子に任せて逃げて構わない。三人を任せたいが、いいだろうか?」
「それはいいんですが……んー……でも俺が出て行くことで足手まといになりませんかね? いやいいんですが……」
じい様……床屋風情のこの俺が、軍人である艦娘と共に、今晩、生まれて初めて出撃することになりそうです……
「よかった。……球磨」
「ほいクマ」
「提督として厳命する。ハルに張り付いて、万が一の際の危険からハルを守れ。戦闘が発生しても、お前はハルの身の安全を最優先に動け。復唱しろ」
「了解だクマ。球磨はハルに張り付くクマ。戦闘が発生した場合は、ハルの安全を最優先に動くクマ」
やべえ。なんかしらんけど、妙に球磨が頼もしい。……そうか。これが球磨型軽巡洋艦一番艦、艦娘の球磨なのか。いつも妖怪アホ毛女としての球磨しか見てなかったから、こんな側面に全く気が付かなかった。
一方……
「頼むぞ。……川内!! ビス子!!」
「はいッ!」
「わたわたわたわたわたし?!!」
「お前たち二人は、戦闘が発生した場合は、可能であれば情報を探った上で敵の排除をしろ。無理だと思ったら即座に撤退。いつものように生還が最優先任務だからな」
「了解! 夜戦なら任せておいて!!」
「わわわわわわかわかわかったわ! このこの一人前前まえのレディーはビス子で私アカツキだからッ!!」
「じゃ、じゃあ暁は誰なのッ?!」
「グヒヒヒヒヒ……夜戦……夜戦がッ!!」
頼りねぇ〜……大丈夫かこいつら……。特にビス子、動揺しまくりだろう……
「大丈夫クマ。ああ見えてビス子はうちの鎮守府の中でも夜戦が一番得意なんだクマ」
アホ毛がおれの脳内ツッコミに反応したのか、球磨はそう言って俺にビス子のフォローを入れつつ、たくわんをボリボリ食べている……でもさー……
「大丈夫よ!! も、し何かが出てきたら、私がハルを張り倒して終わりだから!! もっとわたわた私を褒めてもいいのよ!! 要ハサミよ!!! ガクガクガク……」
もうなんか必死すぎて逆に何言ってるかわからなくな
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