ブルボン 〜小さいおじさんシリーズ1
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奴らは今日もまた、どうでもいいことで言い争っている。
俺の四畳半で。
「分からん奴だな貴様も」
「何を。先日は譲ったではないか。今回こそは譲れん」
「では今回も折衷案で、どうでしょうかねぇ」
白い頭巾を被った奴がのったりと羽扇を動かすと、他の2人が片膝立てて食いついてきた。
「この間はよくも騙したな!あれは断じて、折衷案ではない!!」
色白の、背の低い男が怒鳴ると、呼応するように端正な顔をした男が呟く。
「応、貴様の策略でまんまとホワイトロリータを食わされたわ」
怒りを押し殺すような低音の呟きは、更に続く。
「俺もどうかしていた。ホワイトロリータごときがバウムロールの代わりになるものか」
「何と、お口に合いませんでした、か」
白頭巾の男が、そわそわと他の2人を見比べた。
…あれだ、一見反省しているように見えるが、その実、大して気にしていない。あわよくば今日もホワイトロリータ食わせてやろうって勢いはある。そんな強かさを感じる。
こいつらはいつも、突如現れる。
水墨画に出てくる中国人のような格好をしたおじさんの3人組は、部屋の片隅にちんまりと車座を作り、いつも何か言い合いをしている。大きさは一寸…とまではいかないが、30センチに満たない。一時期、多くの芸能人が目撃して一斉を風靡した『小さいおじさん』、否、『小さいおじさん達』というべきか。
プログラミングの仕事が繁忙期を迎え、殆ど寝ていなかった時期に現れたので、最初は俺がおかしくなったのかと思った。心療内科にも通った。
しかし『小さいおじさんが見える』以外の幻覚が起きていないし、繁忙期を過ぎて充分寝ているのに現れる。なので心療内科は一旦ストップした。そして本当に、本っ当に信用できる、ていうかもう目の前でちんこぶらぶらさせても「ちんこしまえ」で済ますレベルの親友を呼び、こっそり確認してもらった。
「うわ、いるわ」
奴の呟きを聞いた瞬間、堪らないほど『しんどさ』がどっと腹にきた。次の繁忙期はもう目の前だというのに、新種知的生命体発見クラスの大事件が明らかになれば、取材だの調査だのが殺到するのだ、この四畳半に。
うっわしんどい、たまらんほど面倒くさい。
幸い、友人も見なかった振りをしてくれるというので、小さいおじさん達の処遇は現れるのと消えるのに任せることにした。今日も持ち帰った残業をこなしつつ、横目でおじさん達の様子を伺う。
「とにかく、この間ホワイトロリータを食ったのだから、今回はホワイトロリータ却下だ。文句がある奴いるか!?」
小さくて目付きの悪いやつが吼える。…こいつは3人の中では一番豪勢な衣装を着ている。一番身分は高いのだろう。白頭巾は軽く頭を垂れ、端正なやつは大きく頷き、白頭巾を睨めつける。豪勢が、厳かに呟いた。
「
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