ブルボン 〜小さいおじさんシリーズ1
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、貴方は一生ルーベラ食ってなさい」
「同じとは云ってないだろ、似たようなかんじと云ったのだ!いちいち細かい奴らめ、そんなだからいまいちパッとしないうちに死ぬんだぞ」
僅かにでも大声を出したことを恥じたのか、白頭巾は羽扇の陰で小さく咳払いをした。
「…少し声を張ったら、喉が渇きましたね。茶を頂きましょうか…」
そう呟いて静かに立ち上がると、水が流れるが如く、するりと台所に向かって歩き出した…瞬間、端正がぐいと白頭巾の外套の裾を踏みつけた。
「――待て!卿、またドサクサに紛れて茶とルマンド持って来る気だな!」
「そこな頭巾を取り押さえろ!!」
もがく白頭巾を2人がかりで取り押さえ、無理矢理座らせる。…初犯じゃないのかよ、もう…
「本っ当…貴様なぁ…そういう、ドサクサに紛れてちゃっかり利権を得るみたいなの、もう止めようや」
息を切らせて白頭巾の肩を押さえつける豪勢。こいつはこいつで意外と苦労性のようだ。生前(?)もさぞかし、濃い部下に囲まれて色々頭を悩ませたのだろう。
「私は手段を選びません」
居住まいを正した白頭巾が、やおら羽扇を振り上げた。
「それが正義の為ならば!!」
「言い切るなぁ貴様は!!」
「強引にルマンド持ってくることの何処が正義か!!」
――なにやってんだ、大の大人が――
「貴方達は、何も知らないのです」
また羽扇の陰でひっそりと笑う。他の2人が肩を押さえたまま白頭巾を睨んだ。
「今度は何の策か?」
「容易にたばかれると思うなよ?生前は散々煮え湯を飲まされたからな、貴様には」
「世の流れに、ついて」
今度は羽扇をぴしゃりと膝に叩きつけ、声を張る。
「バームロールやルーベラは、既に流行りの本流に非ず!!」
「!?」
「この間、そこら辺に放置してあったスマホで調べてみたのですよ、ブルボン菓子の人気について」
この頭巾野郎、変な検索履歴があると思ったらそういうことかよ。我が物顔だなおい。
「人気一位はアルフォートとかいう見たことない菓子。そして二位は…ルマンド!!」
「卿はそういう機械操作ばかり習得が早いな…」
「ていうかアルフォートって何!?名前からして旨そうだな!」
他の2人が、明らかに揺らぎ始めた。特に豪勢は意外にミーハーなところがある。
「バームロールは十位以内に入ってはいるがルマンドには及ばず、ルーベラに至っては遥か圏外…」
再び羽扇を持ち上げて口元を隠す。そしてひっそりと呟いた。
「…そして、昨日入荷したルマンドは何と…キャラメル味、なのですよ」
「キャラメル味!?」
「何と!!…そういや、ルマンドってそもそも何味なんだ?」
――駄目だこりゃ。なんか腹立つくらい白頭巾のペースだ。
だが意外な事に、豪勢が首を振ってため息をついた。
「…いや待て、そういうコ
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