ブルボン 〜小さいおじさんシリーズ1
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いち話をややこしく」
「おのれやはり妻を!!」
端正が腰に佩いた剣に手を伸ばす。白頭巾は羽扇の陰でにやりと口を歪めた。
「あ、コイツ今笑った」
豪勢が呟くと、端正が白頭巾をぎろりと睨んだ。…いちいち振り回されがちな気質というか、余裕がないというか。
「いちいち挑発に乗るな馬鹿馬鹿しい。それより湯が冷める、茶菓子の話に戻るぞ」
さすが豪勢、この中では一番大将の器だ。頑張れ豪勢、とっとと茶菓子を決めろ。
「先ほど貴様は…なんだ、デコレーションしてパーティだとか老人子供に優しいとか言っていたが」
一拍置いて、豪勢が声を張り上げた。
「貴様はこれから老人や女や子供を呼んでちょっとしたパーティをしたいのか!?」
「!?」
「今この菓子を食うのは我々だ。女でも子供でも老人でもない」
「うふふふ…それとも貴方はこの面子で『バウムロールを輪切りにしてアラザンでデコレーション☆』とかそういう乙女な展開を望んでいるのですか?」
白頭巾は羽扇の陰でくすりと笑った。
「……きも」
「貴っ様――!!」
またもや剣に手を伸ばす端正を、豪勢が羽交い絞めにする
「いちいち挑発に乗るなというのに!貴様も下らん挑発するな!!…つまり、我々は今『菓子としての優秀さ』ではなく『どの菓子を食いたい気分か』で話し合いをしているのだ。女子供への配慮やら応用力は蛇足だな」
「ぐぬぬ…しかし!俺はいつも床が散らかるのが不快で不快で!!」
「いいではないですか。次の日には何故か綺麗に片付いてますし…」
俺が毎回掃除してんだよ陰険白頭巾め。ちなみに毎回、豪勢の座っていた辺りがむかつく位豪快に散らかっている。
「扱い易さでバウムロールに一歩及ばぬのは認める。だが余はあくまで『旨さ』の点でルーベラを推す」
豪勢は胸を反らし、部屋の隅に放置してある菓子の缶を指差した。あれは確か、年末俺がビンゴで当てた…
「あれに入っていた菓子を覚えているか。…ヨックモック、というそうだ。素晴らしく旨かったな」
お前らか、妙に減りが早いと思ったら。
「ああ、旨かった。あれがあった頃は満場一致で茶菓子が決まったものよ」
端正も懐かしげに目を細めた。お前らどんだけ食ったんだよ。
「ルーベラは、あれに勝るとも劣らぬ食感と味とは思わんか!?旨い菓子ってのはな、こう、適度に油っぽく、いい香りがして、さっくさくしているものなのだ、バウムロールとかルマンドにはこの油っぽさが足りん!」
「勝るわけあるか――!!」
「ヨックモックに謝りなさい!!」
白頭巾が珍しく羽扇を震わせてムキになっている。
「な、2人して急にどうした」
「卿は本当にいちいち雑なのだ、このバカ舌が!そんなんだからウッカリ一家皆殺しとかしでかして、ツレにドン引き逃亡されるんだろうが!」
「とんでもない外道ですね
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