ブルボン 〜小さいおじさんシリーズ1
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では余と貴様の一騎打ちといこうか」
「お待ちください、私も参加いたしますよ」
白頭巾が居住まいを正す。端正が片膝を立てて乗り出した。
「まだ云うか!ホワイトロリータはこの間」「ルマンドで、参加いたします」
ゆるり、と微笑む白頭巾。刹那、呆然とする2人。3秒後、思い出したように声を荒げた。
「おのれ、貴様は『あの頃』からちっとも変わっとらんな!!」
「全くだ…ポリシーを曲げてでも、損をおしてでもやりたい嫌がらせかソレが。卿は子供か」
端正は声に出したせいで色々思い出したらしく、指先でイライラと床机を叩き始めた。
「先ほど菓子棚を覗いたら、ルマンドが入荷されていましてね。ホワイトロリータはそろそろ品薄だし、宗旨替えもアリかな、と。なにか問題でも?…あぁ」
白頭巾はあくまでも、今思いついたかのように斜め上に視線を泳がせて目を見開く。
「私が参加すると、またお2人のお目当ての菓子を頂けない、ですものねぇ」
―――うわなにこいつ、嫌なやつ。
豪勢と端正が顔を真っ赤にして肩を震わせている。豪勢が食いしばった歯の端から押し出すように呟いた。
「…勝手に参加しろ。今日はコテンパンにしてやるからな」
つまり奴らが何をしているのかというと、俺が戸棚に溜め込んでいるブルボン菓子の、どれを茶のアテにするかで揉めているのだ。実家から段ボールで大量に届くので、勝手に食ってくれても一向に構わないのだが、奴らはいちいち一つの菓子を三等分するのである。その度に揉めるのが面倒くさい。
「今日こそは卿らにバウムロールの優位性を分からせてくれるわ」
今日は端正が口火を切った。いつもどおり、複合機からコピー用紙を一枚引き出し壁に張り付け、即席のホワイトボードを作る。他の2人はホワイトボードの端っこを適当に使う。3人の中で、端正がなにげに一番真面目な奴だ。
・しっとり感
・場所を選ばぬ手軽感
・応用力
・お年寄り 子供に優しい
大きな字でそれだけ書くと、端正は他の2人に向き直った。
「どうだ、ルーベラ・ルマンド両者に対し、バウムロールはこれだけの優越性を有している!場所を選ばず、万人に受ける、ブルボンの旗手たる要件揃い踏みであろう」
「…応用力?」
白頭巾が首を傾げた。端正が話を続ける。
「包丁で輪切りにすればミニバウムクーヘンに、チョコペンやアラザンで飾ればイベント時のちょっとしたオリジナル菓子に変化して、女子供が大喜びだ」
端正がにやりと笑った。
「ルーベラやルマンドに、そんな柔軟性があろうか?」
「ぐぬぬ…」
豪勢が軽くたじろぐ。白頭巾は首を傾げたまま様子を伺っている。
「更にだ。バウムロールは卿らの推し菓子のように散らからない!特にルマンド!」
端正があざけるように顎を上げた。白頭巾は表情は変えずに視線
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