第174話 劉gと劉j
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の箱を五箱運び込んできた。その箱は孫策の前に置かれた。
箱の大きさは三尺(五十四センチ)四方の大きさだった。
「褒美だ。受け取るがいい。孫家への正式な褒美は日を改めて与える」
「中身を拝見してもよろしいでしょうか?」
孫策は正宗に徐に聞いた。正宗が頷くと、孫策は箱を結んでいるいる紐を解き蓋を外した。中身は銀の延べ棒がぎっしりと敷き詰められていた。彼女は全ての箱の蓋を開け感嘆している様子だった。正宗を憚ることなく表情が緩んでいた。
「孫伯符、孫文台への褒美は日を改めて使者に届けさせる」
「分かりました。母に伝えておきます」
孫策は正宗に声を掛けられると緩んだ表情を整え顔を上げた。彼女は正宗に褒美の礼を述べると、その場を後にした。褒美の銀は正宗の兵達によって本営の出口まで運ばれ、その後は孫堅軍の兵士達の手で運び出された。
孫策が去ると朱里が正宗に目配せした。正宗は頷いた。
朱里の命令に従い、一人の少女と壮年の男が後ろでに縛られ状態で連れてこられた。彼らは正宗の正面から少し離れた地面に座らせられていた。二人は土と泥で顔や衣服が汚れていたが、その風貌から貴人であることが窺えた。劉jと劉jの父である。
「星。愛紗。よくぞ捕らえた」
正宗は星と愛紗に声をかけ、二人を労った。
「敵の総大将の首は逃しましたが、これで面目が立ちました」
「ありがとうございます」
星と愛紗は正宗に拱手して返事した。愛紗は悩んでいる様子だった。朝敵の親類とはいえ、歳の頃はまだ十代半ばと思われる劉jを捕らえることに抵抗を感じたのだろう。だが、武官である以上、避けて通れることでは無いと納得して自分に言い聞かせているようだった。
正宗は愛紗の様子に気を止めるような仕草をするが、直ぐに視線を正面に戻した。
「お前達が劉jと劉景升殿の夫か」
正宗は声をかけた。二人は正宗のことを親の仇でも憎むように睨んでいた。
「車騎将軍、私は荊州牧の娘です。父上と私にこんな真似をしてただで済むと思っておられるですか!」
劉jは強い口調で正宗のことを非難した。その態度に正宗は嘲笑するように鼻で笑った。劉jは正宗に馬鹿にされたと思い、顔を紅潮させ怒りを顕わにするが感情を抑えようと平静さを保とうしていた。
「劉j、お前が劉景升殿の娘であることなど些末なことだ。お前は朝敵に加担した罪人。罪人を丁重に扱う道理はない。己の立場も理解できんとは劉景升殿が哀れでならん」
正宗は淡々と劉jに言い終わると、呆れ果てた様子で劉jを見た。正宗の動じない態度に劉jは困惑していた。その様子を見た正宗は短く溜息をついた。
「車騎将軍、私達をどうするおつもりなのですか?」
劉jの父は正宗に言葉を選びながら質問
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