第174話 劉gと劉j
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を言い渡せと」
劉gは正宗の言葉に動揺を隠せず、たどたどしい口調でゆっくりと喋った。
「劉g殿が積極的に義妹と継父の処刑に荷担すれば、劉景升殿が蔡徳珪に通謀しているなど言う者の口を塞ぐことができる。余は戦後処理を終えたら洛陽へ上洛する。その時、余の口から、そなたの朝廷への忠誠心を皇帝陛下に伝え劉景升殿の助命を願いでる」
正宗は言葉を切ると片膝を地面に着け劉gと目線を合わした。
「時間をいただけませんでしょうか」
劉gは心痛な表情で正宗に答えた。
「生憎だが、この後に義妹と継父の詮議を執り行う。詮議の結果は死罪で覆ることはない。この場で返事を貰う必要がある」
正宗は劉gを見据えて言った。
劉gは逡巡するも気持ちを固めたのか深く頷いた。
「それでよい」
正宗は劉gの肩に手を置き言うと立ち上がり立ち去った。その場所には劉gだけが残された。彼女は誰もいない場所で嗚咽した。
「ごめんなさい」
劉gは何度も謝罪した。その相手が劉表、劉jかは誰にも分からない。
正宗は自分の天幕から出ると、拘束した蔡一族の処断を行うために詮議の場を設けた。その場には正宗軍の主立った諸将を集めていた。また、伊斗香、紗耶香、慈黄、蓮華、秋佳、宗寿も同席していた。
正宗は詮議の場に現れると上座に用意された椅子に腰をかけた。
「孫伯符、中へ」
朱里が孫策を呼んだ。孫策が木箱を抱え現れた。彼女は木箱を衛兵に渡すと、正宗の元に進み出て片膝を着き拱手した。戦功第一を上げたこともあり、孫策の表情は晴れ晴れとしていた。孫策は蓮華を見つけると自慢げに笑みを浮かべていた。その様子に蓮華は溜息をついていた。
衛兵は孫策が持参した木箱を正宗に見えるように配置し中身を取り出すと、用意した台座の上に配置した。その中身は蔡瑁の首だった。彼女を見知った者達の中で紗耶香だけ複雑な心境をしていた。その顔は泥で汚れており乱闘の果てに首を落とされたと察することができた。正宗は伊斗香と紗耶香と紫苑の様子を順に見ていき、蔡瑁の首に視線を向けるとしばし沈黙して凝視していた。
「哀れなものだな」
正宗は感傷的な表情で物言わぬ蔡瑁の首を凝視した。
「孫伯符、蔡徳珪の最期はどうであった?」
正宗は蔡瑁の首から視線を上げ孫策を見た。
「卑劣な女でしたが、最期は命乞いせず私に斬られました」
孫策の当時の状況を思い出すように語った。
「そうか」
正宗は蔡瑁の首をもう一度見ると瞑目した。
「孫伯符、見事だ。この手柄紛うこと無く戦功第一だ」
「ありがとうございます!」
孫策は拱手したまま力強く返事した。正宗は衛兵に目配せした。すると衛兵が二人がかりで重そうに黒塗り
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