第174話 劉gと劉j
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促されるままに手を取り内容を読んで沈黙した。
「蔡一族は官軍に徹底的に反抗した。助命の機会は私が檄文を出した時だけだ。紗耶香は夫と息子の目と足の腱を切り投降してきた。だから、余は特別に助命した。劉g殿、義妹と継父への断罪は死罪以外にない。二人は蔡徳珪の姪と兄なのだぞ」
「二人は生きているということでしょうか?」
正宗の言葉の機微を鋭く捉え聞いてきた。その表情は二人を心配しているようだった。
「逃亡を図ったところを余の家臣が捕らえ拘束した。両名とも処刑を待つ身だ」
「何卒、二人に寛大な後処分をいただけませんでしょうか?」
「意外だな。劉g殿、二人には良い扱いを受けたことなどないと聞いていたのだがな」
劉gは哀しい表情を浮かべた。
「妹と父が私を疎ましく思うのは分からなくもありません。それでも私は仲良くなりたいと思っておりました」
「救うなどと口にするべきではない。あの者達は朝敵の近親者。庇えば劉景升殿の命も危うくさせる。劉景升殿の助命を確実にするには二人は処刑せねばならない」
「劉車騎将軍の御力ならば二人の死を偽装することもできるはず」
劉gは正宗に膝を折り手を地面につけ頭を下げた。
「何故、そうまでする」
「母が悲しむ顔を見たくはありません」
劉gは顔を上げ正宗を見た。正宗は劉gの本音を垣間見たような気がした。
「蔡徳珪の暴挙で御母君はこのままでは死ぬだろう。洛陽では蔡徳珪と通謀している嫌疑で詮議を受けることになるはずだ。余が最後まで投降しなかった二人を助命すればどうなると思う?」
劉gは正宗の言葉の真意を理解出来ていないようだった。
「余が口を噤んでも世間は劉景升殿が余に頼み込んだと思うだろう。それは朝廷の重臣達も同じだ。家族とはいえ朝敵の近親者を守ろうという劉景升殿への謀反の疑いは払拭されることはない」
正宗の言葉に劉gは顔色を変えていた。
「そんな。母は。母は決して朝廷に二心を抱こうはずがございません。それだけは決してあろうはずがありません」
劉gは必死になって正宗に弁明を行った。
「弁明したとて無駄だ。人は信じたいことだけを信じるものだ。目の前に信じるにたる証拠がある以上、人の口に戸を立てることなどできない」
「私はどうすればいいのですか」
劉gは落胆し力なく肩を落とした。彼女は今後どうすればいいのか分からなくなっているようだった。
「劉g殿、貴殿の肩に劉景升殿の命がかかっているのだ」
正宗は劉gの背中を押すように声をかけた。劉gは正宗を見上げた。正宗は劉gを神妙な表情で見つめた。
「劉g殿、義妹と継父に死を言い渡すのだ。それで劉景升殿の嫌疑は拭える。余の名に賭けて、お約束しよう」
「私に。義妹と継父に死
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