暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 2
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
士の距離、正面以外の出入り口の有無、祭壇までの歩数、女神像の周囲の構造、置かれた花の種類……礼拝堂内のあらゆる物が、シャムロックにとっての有益な情報になる。ステンドグラスの色彩配置まで事細かに脳へ刻み付け、最後に女神像を確認した。
 赤子を抱える姿勢で右腕に百合の束を抱く女神アリア。左手は浮き気味で、花弁の先に人差し指が軽く触れている。逆光で判り難いが、緩い袖から覗く手首に細い物が絡まって見えた。
 (……あれか。遠近感を考えると、相当長い鎖を使ってるわね。重さも頭に入れとかなきゃ、脱出する時に足を引っ張られそう)
 祭壇の手前で両手を組み、祈る振りで周りを窺いながら、様々な実行手段と侵入・逃走経路を思索する。
 だが、情報はまだ足りない。
 怪盗は夜に動く。此処には夜の暗闇が足りてない。
 今はまだ、下見の下見段階だ。
 (念の為、崖の高さと教会の裏側も確かめとかなきゃ……)
 頭の中で予定と計画を編み出したミートリッテは、背後の集団から彼女をじっと見つめる何者かが居る事に、全く気付いていなかった。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ