暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第10話 眼
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
じい殺気を感じ取った不良の男は背中に冷たい水を流し込まれているようになり、冷や汗をダラダラと垂れ流しにした。

サソリは空いている手を自動で動かして印を結んだ。これは本人も自覚していない。

写輪眼
偏光能力(トリックアート)

サソリの姿が歪みだして、不良男の目の前に移動したように錯覚させる。
もう、不良の男の思考は冷静ではなくなった。
自分の能力を把握しているが、自分に使われるなんてことは想定していない。
全てが規格外の存在に、自分がかき消されていく。
それは、圧倒的な力で自分を叩き潰してくる「高位能力者」の存在に似ていた。

「くそぉぉぉぉぉぉぉ、こんなガキに!!」
目の前に移動したであろうサソリ目掛けて拳を握りしめて殴りかかる。
しかし、拳は無情にもサソリの頭上を通過していってしまう。
サソリは鉄パイプから手を放して身体を反転して出された不良の腕を抱えると、懐へと滑り込んで一本背負いを仕掛けた。
相手の力に自分の力をプラスする完璧なワザだった。
「がっ!!」
背中からコンクリートの床に叩きつけられ、肺から空気を絞り出されたように微かな呻き声と腕を上下させた。
サソリは、斜めに脇腹に刺さっているナイフを無造作に力任せに抜き取ると不良の喉元に当てて
「なんなら殺ってもいいんだぜ」
と冷たい声で生暖かい切っ先を滑らせた。
経験したことのない恐怖に放り込まれた不良の男は、口から泡を吹きだして意識を手放した。

どういうことですの?
白井は目の前で繰り広げられていた攻防に唖然としていた。
サソリから感じたあり得ない量の殺気の棘を直接ではないが受けていた白井は軽く震える。
怯えるという表現が正しいかもしれない。
まるで別人になったように……

「おい!大丈夫か?」
サソリが呆然としている白井の顔を覗き込んだ。
「ひゃあ!?」
「終わったぞ。たぶん殺してねえから安心しろ」
「はいですの……」
白井は素直に返した。
「反応が薄いな……あ、そうだオレの眼何かおかしいか?」
と巴紋の紅い目を光らせながら白井を視界に収める。
「どうも、変なんだよなー」
「その……赤い眼をしてますの」
「あか?」
サソリは、よたよたと立ち上がると壁際にあった割れた鏡から自分の身体に起きた違和感を見つめた。
「は?」
サソリは両目をゴシゴシと擦りながら、もう一度確認する。
「何で写輪眼が」
と呟くが次の瞬間には、ガタンと鏡にもたれかかるように全身の力が抜けて身体を動かすことが困難になる。
サソリの顔は真っ青になっていた。頭を殴られた上に脇腹をナイフで刺されている。普通でいえばいつ倒れてもおかしくない姿だ。
一切、得意の傀儡も罠もない状態での戦闘
そして病み上がりの身体に写輪眼が目覚めた。
全て
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ