第10話 眼
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ャリと曲がり不良の顔面に叩き込んでいた。
「さすがに腕の実態上をすべらせりゃ、顔に届くだろう」
「ぐあ!?」
サソリは掠めた頬の傷口に手を当てて、血を拭うとその血を舐める。
衝撃を受ける覚悟がある者と無い者の差は大きい。
サソリは、致命傷を避けるための最低限の動作をしていたが、最後には軌道を正確に知るためにワザと攻撃をもらう覚悟をしていた。
しかし、戦っている相手は能力により自分に当たるなんて露程も考えていない者にとってインパクトの瞬間に受け身が取れずにサソリの拳にひっくり返った。
「解!……?」
サソリは印を結んで自分に掛けられたハズであろう幻術を解こうとするがうまく行っていない。
チンピラの男は、起き上がるとナイフを手に取ってサソリを刺しにかかる。
狙いは腹部か
「面倒だが」
サソリは、再びチャクラ糸を張り巡らして刺激に備えるべく忍の構えを取るが。
喉元で鉄の味が広がる。
先ほど流した自分の血だ。
味は口元まで上がってくると、サソリの口からあふれ出した。
赤黒くなった血液がサソリの口からとめどなく流れ出ている。
「ぐ!?」
何が起きた?
強烈な目眩がしてサソリの構えに乱れが生じる。
もはや攻撃に備える余裕はなく、口から血を何度も吐き出した。
しかし敵はサソリの不調を気にする素振りを見せずにサソリの脇腹へとナイフを突き立てて力任せに蹴り飛ばした。
「!?」
サソリの肉体は一瞬だけ浮くと、コンクリートの柱に頭を打ち付けた。
痛みと苦痛で顔は歪み、外套には血が滴り落ちていく。
不良は、ゴボゴボと咳をして動かなくなったサソリを尻目に三階へと上がって行った。
「あばよ。よくわからんガキが」
サソリは未だに血が滴り落ちている口を押える。
「……気持ち悪い」
強烈な吐き気だ
頭を鈍器で殴られたかのような痛みもあり、サソリは丸くなるように屈んだ。
脇腹に刺さったナイフを手で確認する。差し込み口から捩じるように刺さっている。
こりゃ、下手に抜くと大量に出血するな。
サソリは傷口に手を掛けるとチャクラ糸で傷口の応急処置を開始していた。
自分の身体に起きた異変に戸惑っていたが、気づいていない。
自分の双眸にはあるはずのない巴紋が浮かび上がっていることに。
攻撃の瞬間にはサソリの眼に結ぶはずのない相手の攻撃が鮮明に映り込んでいたことに……
不良は階段を上がりながら首を傾げた。
「あのやろう、一体どうやって……」
紛れもなく赤い髪をした男が、殴られることのない自分の顔を殴ったことが腑に落ちないでいた。
そして、切りつける瞬間に見せた猟奇に満ちた眼に映る自分の姿。決して結ぶはずのない自分の正面の姿が映る赤く二つの勾玉のような眼球。
「いやいや、考え過ぎた。あんなガキに構って
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