40.オープン・コンバット
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
前にベルの視界をとんでもないモノが横切っていった。
それは、奇声を上げて武器を振り回す100体近くの鎧の大群と、その鎧たちの20倍以上はあろうかという超特大鎧の大行軍だ。
余りにも堂々と練り歩いているから一瞬「都会の祭りかな?」と楽観的な事を考えたベルだったが、次の瞬間に巨大鎧が建物を倒壊させて道行く人々の悲鳴が上がったことで事態を把握。鎧軍団がこの街にとって「敵」であることを理解する。
当然と言うかなんというか、ベルは震えあがった。未だ冒険者になって間もない若輩者で、しかも最近になってようやく魔物相手のヘッピリ腰が直ってきた程度の度胸しかないベルが「殺し合い」などという野蛮かつ残虐な行為にすぐさま立ち向かえる訳もない。
ただ、そんな少年にも「悪」を許せない心というものはある。いわば一般論レベルの、人並み程度の正義感だ。だから、鎧の軍団が通り過ぎていくのを何もせずに指を咥えて見逃すのはどうなのだろうと悩んだ。善意と恐怖の狭間――戦うか逃げるかの狭間。
だが、均衡は割とあっさり崩れ落ちた。
「もう逃げてるんならそれでいいけど、もしも逃げ遅れてたりしたら……!神様ぁぁぁーーーーっ!」
鎧の集団が向かっている方角――それはベルの尊敬してやまない主神ヘスティアが涙ぐましくもバイトをしているじゃが丸くんの屋台があることに、彼は気付いてしまったのだ。
もしもだ。もしも自分が怯えて縮こまっている間にヘスティアがあの鎧に襲われたら?それでもしも彼女の美しい肌に傷でも入ったとしたら?
――僕、最っっ高に格好悪くない!?
無駄な努力かもしれない。あれだけ派手に暴れているんだ、事態に気付けばヘスティアとて自力で逃げ出しているだろう。しかしそれでも、ベルはその目で一度確認しておかなければ安心することが出来なかった。
もちろん出来るだけ鎧に出くわさないように小さな路地を縫うように移動してはいたのだが、不意にベルは誰かの気配を察して急ブレーキをかける。
「まさか鎧に先回りされてたりは……しない、よね?」
恐る恐るベルは路地の角から片目を出して様子を伺う。
そこには、ローブを着こんだ男性らしき人が苛立たしげに佇んでいた。
「糞!!ファックファックファックファック、ファァックッ!!あのイカレポンチ野郎め、お膳立てしてやったってのに最後の最後でコレかよッ!!見せびらかすように暴れまわりやがって……計画が狂っちまうだろォガよぉぉッ!!ああ気分がワリィ!!………だが、ヒヒッ。鎧に自分の魂を写すたぁクレイジィだ!芸術家さんは発想がイイねぇッ!!芸術なんぞ興味がねぇが、馬鹿にゃできねぇなァッ!!」
(うわぁぁぁ……こんな時に限って滅茶苦茶近づきたくない系の人がいるぅっ!?)
怒り狂って
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ