40.オープン・コンバット
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茶硬くて強い剣なのに!『大切断』の名前が泣くよぉ……」
「ここまで丈夫やと単純に硬いっちゅう問題とちゃうよねぇ……まさか『不壊属性』?」
だが、もしそうなら対処の仕様がないわけではない。糸で縛り付けて行動不能にすれば――そう考えた浄蓮の視界が、あるものを捉える。
それは目算百数十Mほど離れた場所から近付きつつある巨大な鎧。
全高7Mはあろうかという親玉風味な巨大鎧が身をかがめ、まるでこれから全速力で走ろうとするように力んでいた。
「まさか……突っ込んでくる気!?だったらこのまま受けて立っちゃうよ!『巨人殺し』のファミリアに力押しで勝とうなんてブンフソーオーなことを……!」
「ちょお待って……あれは走る時の構えとちゃう!」
走るのならば片足を前にしてしゃがむはずなのに、あの鎧は両足を同じ場所で曲げている。
それが意味するのは――跳躍の構え。
『貴様らのような品のない女どもに構ってる暇はないのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』
直後、ズガァンッ!!という轟音とともに跳躍した鉄の鎧は、二人の頭上を遙かに超えて防衛線を悠々と突破した。
数百M離れた場所からけたたましい着地音と逃走する人々の悲鳴が響き渡る。踏み潰されたわけではないようだが、このまま放置すれば結局そのような末路を辿るだろう。
「………品のない女どもやて、ティオナはん」
「いやー言われちゃったねぇあっはっはっはっは……」
「ウフフフフフフフ………」
「あははははははは………」
異様に落ち着いた声で笑いあう二人に近づいた複数体の鎧が、街の外に飛ぶ勢いで吹き飛ばされた。
「……あれ、親玉やねぇ」
「そうだね」
「親玉潰したら子分も黙るんが集団っちゅうもんよねぇ」
「あるある。小さい魔物をはべらせてる魔物は大体そのパターンだもんねぇ」
二人の周囲にある空間に伝播する強烈な『憤怒』の感情が、ビキビキと音を立てて歪んでいく。
「死ぬより恐ろしいっちゅう言葉ん意味、噛み締めさせたるわ……!」
「壊れにくいんなら叩いて潰して丁寧にミンチにしてあげる♪」
しゃらら、と音を立てる糸と大双刃の刃がそっと触れ合う。
それはとても静かな――女のプライドを傷つけた愚か者に対する死刑宣告だった。
アルガードはまだ気付いていない。
自分が余計なことを口走ったために、二人の狩人を本気にさせてしまったことを。
= =
ベル・クラネルは新人冒険者である。
祖父に色々とアレな教育を施されてオラリオにやってきて今はなんやかんやでヘスティアという女神の眷属をしている彼は、今日も「師匠」と崇めるガウルと共に立派な冒険者になる為の特訓を受ける筈だった。
ところが、約束の時間が来る
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