39.『免疫細胞』
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鎧にアストラル体を転送するために鎧を利用したのだ。だとしたらあの理性のない鎧たちは導火線か、あるいは増幅器。鎧の兵隊たちはそれによって生まれた副産物でしかない。
周囲の鎧が急に立ち止まり、統率のとれた動きで大鎧へ我先にと向かっていく。どうやら副産物の操作に関しても目途を立てていたらしい。元々が自分の魂だ。方法はあるのだろう。
「出鱈目な事ばかり考える奴……!あんなものを持ちだして、一体奴は何がしたい!?」
体力の限界を迎えて地面にへたり込んだルスケを背に、ブラスは忌々しげに吐き捨てた。
= =
嗚呼、人生最高の気分だ。
まるで建物が子供の積み木にように脆い。軽く足を動かしただけでいとも容易く薙ぎ倒せる。
試しに手を振ってみると、まるで普段の肉体の延長線上にあるかのように軽い。
まるで巨人の気分だ。
それも理性のないゴライアスのような存在ではない、洗練された大鎧だ。
子供の頃にあれほど憧れた鋼鉄の戦士に自分自身が成った。その感動たるや、間違いなく人生でも最大の歓喜であろう。
『僕自身が鎧になる!!考え付きもしなかったな!!図らずとも幼い頃の夢まで叶ったという訳だ!!ふくっ、悔しいが鎧の構造に拘り抜いたヴェルトールには感謝せねばなぁ……』
手先が種族的に器用という訳ではない猫人の身であり、しかも鍛冶が専門ではないにも拘らず、ヴェルトールは依頼に沿ってこのサイズの鎧を組み上げた。40年かけてやっと今の技量に到った僕とは違い、間違いなく天賦の才覚を持っている。
だからこそ、奴がレベル4の地位に居座って一歩も進もうとしない事には言いようのない腹立たしさを覚えていたが――もう、それも過ぎ去りし過去の時間となりつつある。
夢はいつか醒める。
幻想は長く続かない。
僕にはもう時間がないのだ。
全神経を集中させるように意識を引き伸ばし、街中に広めていく。それは何の興味もない一般人を捉え、自分の魂の残滓が籠った鎧たちを
『感じる……感じるぞ……!お前の魂の鼓動を!!』
首飾りを8個渡した後、もう一つお前の首に9個目をかけたのを覚えているか。
殺害人数が8人なのにどうしてひとつ多いのかと尋ねたお前に、僕は『お前も付けていなければ不自然だろう』と言ってやった。お前は盲点を突かれたように苦笑いしながらそれを受け入れたな。
その首飾りにはお前の考え通り、殺傷力など皆無な唯のネックレスだ。ただ一カ所を除いて。
それの中心部は特殊な透過物質を込めてある。この物質はアイテムとしては何の役にも立たないが、あらゆる探知機能や魔力をまるで空気のように透過する不思議な性質を持っている。その中に僕の魂を入れたらどうなると思う?
普通ならば
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