38.悪霊の軍団
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疑惑を確かめるためにブラスはその鎧に2発の斬撃を立て続けに叩き込む。鎧の足、関節の脆い部分、それぞれにぶつかった剣からは先ほど槍から感じたものと全く同じ手応えが返ってくる。
「間違いない……鎧も武器も両方が『不壊属性』だ!!」
「は………?『不壊属性』って………つまり、壊れないんスかあの鎧!?」
「ああ、壊れない!アルガードめ………アストラル体とは別に『現象写し』で『不壊属性』の性質を鎧に複製していたんだ!!」
『不壊属性』――このオラリオ内でもごく限られた存在が、非常に高価な資材と多大な時間を費やしてやっと製造することが出来る属性。その力は万物の法則を塗り替え、決して衝撃で壊れる事はない。たとえ装備者の命が消し飛ぼうとも、それはだけは原形のまま残る――文字通り壊すことが不可能な物質属性。その物質法則を、アルガードは複製したのだ。
理性は持たず、冒険者並みの能力を持ち、そして決して壊す事の出来ない鎧――『悪霊軍団』。
「待って下さいッス!俺達の後ろにいる鎧ってざっと見渡しても屋敷の中にいた鎧の半分くらいッスよね!?もしかして、もう半分は街に野放しッスかぁ!?」
「面倒ばかり起きやがって……こんなことならばレフィーヤでもいいから頭数を増やして来ればよかったッ!!」
ブラスは事ここに到って、他の冒険者を一人でも連れてこなかったことを後悔した。
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