38.悪霊の軍団
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ないですかぁぁぁぁッ!!」
「連中みたいな喋り方をしてないで走れ!お前が近くにいては迎撃も出来ん!路地を出て裏街道まで誘導するぞ!!」
いつの間にかブラスの脇には先ほど向こう側に置いてきた筈のモルドまで抱えられている。出入り口前で急ブレーキをかけたブラスは扉を蹴り飛ばして外に脱出する。背後から迫る夥しい鎧の足音に急かされたルスケも必死の形相で飛び出した。
「はぁっ、はぁっ!チックショウ何なんだアレ!もしかして新種の魔物をテイムして敷き詰めてたんッスか!?」
「その方がまだマシだったかもな……!アレはもっとイカれた方法で鎧を動かしているぞ!」
「どうやって!!」
「自分の魔法を媒介にして、鎧の一つ一つに自分の記憶や人格などのパーソナリティ複製を定着させたんだ!純エネルギーに近いアストラル体としてな!」
「一般人の頭でもわかる言葉でお願いしまッス!!」
「自分の魂を切り取って鎧に無理やり押し込んだ!!これでいいか!?」
「分かりたくないけど理解しちゃったッス!!」
アストラル体とは魂に限りなく近い概念であり、魔法より更に純エネルギーに近い存在だ。恐らくアルガードは予め鎧の全てに『神秘』を用いてアストラル体を定着させる器として体裁を整えていたのだろう。そして『現象写し』を使って自分の思考をアストラル体として鎧へ一斉に送り込んだのだ。動力は全部アストラル体そのものの『魂の力』と補助魔力だろう。
しかし大量に送り込み過ぎたのが原因か明らかに感情が明後日の方向に突き抜けており、ほぼ理性は喪失しているようだ。大半はブラスたちを追跡しているものの、残り半分は反対方向へ駆け抜けたり壁にぶつかったりと出鱈目な動きをしている。
『兎は鳥だ!狐は何だ!ジャッカルのはく製をシカ角で串刺し!!あは、あは、あは!!』
『鎧を眺める時はまず斜め下からその威光を確かめるように見上げそこから足先から腰にかけての絶妙な曲線を撫でながら愛でるそして腰のくびれの可動範囲を確かめつつ胸部プレートをそっと外しししししししししししし、し、白銀ぇぇぇぇぇぇッ!!!』
がしゅん、がしゅん、と重さの感じられない足音が押し寄せる。ブラス一人なら振り切れる速度だが、ルスケが全力疾走しても全く引き剥がせる気配がない。厄介だな、とブラスは思う。あちらは肉体的な疲労が無いからアストラル体と魔力の両方のエネルギーが尽きるまで常に全力で行動が出来る。
しかも、あの鎧たちは段々と動きにぎこちなさが消えて速くなっている。最初は鎧の身体に完全に適応していなかったのを、ノロノロ逃げる目標を追いかけるうちに慣らされてしまったのだろう。そう、まるでステイタスの上昇に慣れずに体を動かす練習をする冒険者のように――
「待てよ……『恩恵』は魂に刻まれ
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