38.悪霊の軍団
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手くやった。
百合の花の香りを嗅ぐと、今でもあの日の殺人計画を鮮明に思い出す。百合の花は奴が持ってきたのだ。奴なりに思う所があったのだろうが、確かにこの香りは作業効率を高めてくれた。
話が逸れたが、トラップアクセサリを渡すことそのものは難しくはなかった。だが、当の渡すトラップ作りは難航した。大前提としてこのアクセサリは確実な殺傷能力、確実な発動、そして発動時期をある程度コントロールできる必要があった。
まず最初に一撃で相手を致命に到らしめるための方法に苦心した。
一番に考えたのは仕込み毒のトラップだ。腕輪でもなんでも体に密着させたものならいい。原始的かつ確実に対象を殺すことが出来る。しかしこれでは何かのはずみに誤作動する可能性を排除できず、また発動のトリガー設定が複雑・大型化するために諦めた。
次に、魔剣の欠片を使った殺人トラップを考えた。
魔剣を特殊な技術でバラすと刃の欠片に約一回分の魔法を使う力が残される。上手く利用すれば手投げ弾のように強力な威力を出せる。後はこの欠片を内包するアクセサリに『神秘』のスキルで付与効果を与えれば時限爆弾のように扱うことが出来ると考えた。しかし、実際に作ってみると魔法が暴発する方向をコントロールするのが難しく、下手をすれば重傷にすら至らない可能性がある。
威力を上げるためにもっと大きな欠片を使う手もあったが、殺人のトリックが大型化して不自然な形状になってしまう。これも諦めざるを得なかった。
いくつかの方法が頭の中に浮かんでは消える。早い段階で計画は行き詰まった。だが、それを察した奴は一つの本を寄越してきた。『魔導書』だ。
内容を改めた僕は正直驚いた。
そこには『現象写し』と呼ばれる全く新しい魔法が封入されていた。この魔法は簡単に言えば『特定の現象や情報を物質に転送する』もの。この現象の定義には、物質は含まれないが純エネルギーに近い魔法が含まれる。つまり、これさえあれば魔剣の欠片と同じ効果をほぼノンスペースで行える。
選んだのは電気の魔法。理由は最も命中率が高く、発動時の反動を考慮する必要が殆ど無いからだ。外見には死人も分かりにくいから初動が遅れて蘇生の可能性が低いのもポイントだった。後は『神秘』によって電撃が確実に持ち主に当たるためのいくつかの工夫を折り込み、その中に電気の魔法を封入。
『現象写し』によって移された現象は込めた魔力の量で持続時間が違うので、魔力消費量を媒介に込めた『神秘』でコントロールすることで、確実に殺害できる。
一日おきの殺害になったのは、奴の提案だ。あいつも中々にえげつない事を考えた物だ。
「――まぁ、こんな所だ。理解できたかい?」
「ええ。
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