38.悪霊の軍団
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鎧の最奥にあった。
それ程広いとは言えない廊下に所狭しと整列した鎧は、まるで王の城に立ち並ぶ騎士たちのように整然としていた。まるで玉座に続くカーペットのようだ、とルスケは何とはなしに思う。一つ一つの鎧は全てが少しずつ持っている武器や意匠が違っており、彼の鎧のコレクション趣味の深さを感じさせる。
「ここがアルガード様のお部屋です」
「…………」
「あ、あの……ブラス様?」
ブラスはそれに返答せず、静かにドアに耳を当てた。
今はとにかく内部の状況が知りたい。ルスケには言っていないが、最悪の場合既にパラベラムは殺されている可能性があった。静かに指を剣に這わせながら耳に神経を集中させる。
『――トリックには苦労したよ。あれは僕の職人としての技術に加えてとある魔法を使う事で実現させたんだ。都合のいい瞬間に発動させるには『神秘』だけでは不十分だったからね。……詳しく聞くかい?』
『……お願いします』
『知識欲に素直だね。いいだろう、教えてあげよう……僕が連中を始末した華麗な方法をね』
(……随分興味深い話をしているな。今回の事件の話なのか?一方的に喋っている方がアルガードで相槌を打っているのがパラベラムだな)
やや一方的な会話と相槌、そしてかすかに紙の上をペンが滑る音がする。書いているのは恐らくパラベラムという男。態々ペンとメモ帳を取り上げずに喋っているのは犯行を隠す気がなくなったのか、それとも話の終了と同時にパラベラムを始末する腹積もりか。
今から突入してもいいが、まだアルガードの腹積もりが見えない。もう少し話を聞きたい所だが、流石にこちらの態度を見かねたモルドの態度が変わった。誰しも自分の主の会話を目の前でいきなり盗み聞きされれば快くは思わないだろう。
「………お客様、速やかにドアから耳を離してもらえま――」
(静かにしろ)
会話の流れからアルガードが犯人なのはほぼ確定。となればもうモルドに用はない。
「かっ……?」
手早くモルドの首筋に手刀を叩きこむと、モルドはあっさり失神して崩れ落ちた。無防備な人間ほど意識を落としやすい相手はいない。床に叩きつけられる前に物音で気配を悟られないよう手を添えてやろうかと思ったが、意外にも反応の早かったルスケが力ない体を受け止める。
目算以上の重さによろけてたたらを踏んだが何とか持ちこたえたルスケは、若干ながら非難がましい目でこちらを見やる。
(やけに手慣れてるッスね……ったく、野蛮なんだから)
(文句でも?)
(山ほどあるけど今は心の内に仕舞っておくッス。それに……モルドさんに逮捕の瞬間は見せたくないッスから)
少し意外に思った。先ほどまではアルガードが本当に犯人か疑っていたにもかかわらず、彼の瞳には諦めにも似た落ち着き
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