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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
38.悪霊の軍団
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 鎧という代物に憧れはじめたのは一体何歳頃の話だったろうか。
 重厚な造り、人を模しつつも力強い造型、鈍く輝く銀色の光沢。幼いころの少年にとって、それは『力』の象徴であり憧れになった。いずれあんな風に風格と気品にあふれた鎧を身に着けたいという夢を抱くほどに一途な想いだった。

 しかし、小人族に生まれた少年の身体が鎧を着こなすに相応しい体格を備えることは決してない。その事実に気付いた時、彼は親を恨んだ。どうして自分が小人族に連なる血族として生まれてしまったのかと嘆き、現実に打ちひしがれた。これが一度目の挫折だった。

 やがて嘆くのに()いた彼は現実を見据え、次の夢を抱いた。
 鎧を着ることが出来ないのなら、鎧を作る事は出来ないだろうか。
 最高の鎧を作りたい。巨大な王国で最強の騎士が纏うような、偉大な鎧を作りたい。着るのではなく、作り出す側になって鎧の雄姿を見て、そこに嘗ての憧れを投影したい。少年は鍛冶師見習いとしてファミリアの門を叩いた。

 待っていたのは過酷な現実だった。少年の小さな体と細腕では力仕事の鍛冶に耐えきれず、雑用の素材運びにさえ支障をきたした。同僚たちに罵倒され、嘲笑され、見下され、少年は再び自分が小人族に生まれたことを恨んだ。少年はその環境に耐えきれず、最初のファミリアから半ば強制的に追放された。これが二度目の挫折だった。

 二度目の挫折のショックが大きく、彼は暫く鎧の事を考えることが出来ないほどに落ち込んだ。その頃にもなると少年は青年とも呼べる年齢になり、現実的な生活を見定めてファミリアを選ばざるを得なくなった。この日から少年は辛うじて身に着けた鍛冶の能力を全力で磨きながら様々なファミリアに入ったが、どこで作業してもヒューマンとトワーフに後れを取った。
 種族的な先天性の才能の欠如。同僚の嫌がらせ。碌な仕事を回してもらえずに飯泥棒と罵られた数は幾星霜。だが、彼は心のどこかでこう思っていた。

 ――三度目の挫折を甘んじれば、もう自分は二度と現実に勝つことが出来ない。

 青年は底辺の更に淵、落下寸前の崖っぷちに死に物狂いで齧りついた。ここまで来ると漸く冒険者としての恩恵が機能を始め、無理をして作業を行うだけ少しずつステイタスが伸びてきた。純粋な小人族としての筋力を越えた恩恵の力が彼の後押しを始めた。

 これ以上は誰にも負けられない――一歩でも引いたらまた駄目になる。そう固く信じた青年は、周囲からの嘲りや罵りに真っ向から抵抗した。時には暴力を受けて大怪我をすることもあったが、その分だけ最大限の嫌がらせで仕返しをした。そんな問題のあるファミリアを好き好んで置きたがる神はおらず、青年は崖っぷちのままいくつものファミリアを転々とした。

 青年が元服を済ませて大人になった頃、大きな転機が訪
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